ビジネス書を自費出版しようと考えたら、その出版費用は3万円~300万円程度になります。かなり金額に幅があるように思えますが、低価格の3万円は「電子書籍」で、高額な300万円は「書店に並べる場合」など条件が大きく異なります。今回は出版費用も含めて、ビジネス書を自費出版するメリットや『売れるビジネス書のつくり方』なども合わせてお伝えしたいと思います。
ビジネス書の自費出版について
ビジネス書を出版したいと思うなら、次の3つのポイントを押さえてください。ただ思いついたままを書きなぐったような文章ではそれを書籍化しても、読者には何も届かない“意味のない出版”となるでしょう。初めての出版で失敗しないようにご注意ください。
1.出版する明確な目的を作ること
ビジネス書を出版したいと考えている方の多くは、自分の『ブランディング』が目的だと思います。その目的は出版するという実績だけでは達成できず、その書籍の内容が読者に正しく届くものでなければ成立しません。なかには専門的なライター(物書き)として印税生活を夢見ている方もいるのかもしれませんが、それはハードルが高いので「現実的には難しい」とだけお伝えしておきます。
2.プロのアドバイスは必要不可欠
出版業界の現状として、個人での出版も容易にできる時代になりました。例えば、電子書籍であれば出版に携わってことがない「素人」の方でも、本のようなもの(原稿)を形にして販売することも可能です。しかし、そのほとんどが書籍としてのクオリティを保っていません。出来の悪い書籍を手にした読者はどのように感じるでしょうか?残念ながら、著者の信頼を得ることは難しいでしょう。まともな本を出版するには最低限のプロのサポートは必要です。
3.電子書籍より『リアルな紙』の書籍
電子書籍はエンターテインメント系の作品(小説やラノベなど)に向いています。しかし、ビジネス書のような読者に正しい知識や情報を与える書籍には向いていません。基本的に電子書籍は『流し読み』の手軽なものとして扱われるため、しっかりと熟読して内容を把握すべき書籍とは一線を画します。また紙の書籍はリアルに手や肌で触れるため、そのリアルな感覚が(本や著者への)愛着や共感を高める心理的な効果も生まれやすいのです。
ビジネス書を出版するメリット
あなたの専門的な知識や情報を書籍化して出版することには様々なメリットが存在します。これは著者負担なしの商業出版でも、今回のような自費出版であったも同じ効果が見込めます。おそらく、出版を希望している皆さんが考えているような単純な効果プラス、それ以上の予想していない反響が起きることもあります。実際に出版をきっかけにテレビ出演などが決まったケースもあります。
読者に正しい知識を伝達
SNS(ブログなど)で様々な情報を発信している方も多いと思いますが、それを読む人たちは「すべて」を確認しているわけではありません。たまたま目にした一つの情報のみを確認しているため、あなたが伝えたいことが正しく伝わっていない可能性が高いです。書籍の場合、基本的に読者は1ページ目から順番に読み進めていきますから、著者が伝えたい内容を正しく伝えることができます。
ブランディング効果について
ビジネス書を出版すると、信頼のある『専門家』として認められるようになります。なぜなら、出版することで(少なくとも)「本1冊分を書けるだけの知識を持っている人」という認識が生まれます。さらには、普通であれば本に書かれている内容は一部であり、それ以上の情報を持っている専門家だと思われます。もちろん、すでに出回っている情報だけでは駄目で、オリジナリティの高い書籍であることが重要です。
各種メディアへのアピール
自費出版であっても各種メディア(テレビや雑誌)で取り上げられることはあります。出版しただけで話題になる本もありますが、多くの場合は人知れず消えていく書籍が多いです。しかし、それは出版に失敗したわけではなく、アピール方法や場所を間違っていただけの場合が多いです。出版した事実さえあれば、その分野の専門家として活躍できる媒体を探して、著者自らアピールできるようになります。
自費出版で注意すべき点
ビジネス書を自費出版するうえで注意しておきたいポイントがいくつかあります。せっかくのチャンスと投資した費用を回収するために最低限の知識を持って行動していただきたいと思います。
ビジネス書の出版目的を明確に
先程も言いましたが、多くの方は『ブランディング』が目的だと思います。講師や先生として活躍するための足掛かりとして「出版」は使えます。仮に現時点での実績がない方であっても、オリジナルの技術や知識があれば戦えるだけの武器となります。間違っても「印税暮らし」というような勘違いの目的を最終目標としないようにご注意ください。
コストパフォーマンス(費用対効果)
自費出版において費用(コスト)の見極めは重要になります。例えば、書店に並べようと思えば300万円近くの出版費用になります。店頭に並んだという事実だけが残り、それから1、2か月後には本屋から消えてなくなります。ほぼ間違いなく話題になることもないでしょう。書店に並べることのメリットもありますが、その恩恵は数か月の間だけの話なので、それを優先すべきかどうかは考えものです。
正しく伝わるビジネス書を目指そう!
よくある駄目な出版パターンは「著者ひとりだけ」で書かれた本です。これらの多くは第三者の視点が入っておらず、読者からすれば「読みにくい」と感じるものばかりです。すでに文章で生活できているライターさんであれば問題ありません。読者を意識した文章が書けているはずです。しかし、初めての執筆であれば正しく伝えることの技術が不足しているため、プロのアドバイスがなければ「まともなビジネス書」をつくるのは困難だと思います。
印税と出版費用について
出版の印税で費用をペイできるかどうかは難しいところです。もちろん、そのビジネス書に需要があればペイできる可能性がありますが、どれだけの出版費用が掛かったのかによる部分が多いです。仮に1500円の印税10%としたら、1冊あたり150円の印税を受け取れるわけですが、その出版費用が300万円なら、少なくとも2万部は売れないとペイできません。まず無理でしょう。
出版社選びは慎重になろう!
ビジネス書の自費出版において考えるべきは費用面だけではありません。例えば(電子書籍ではなく)格安の10万円程度で出版できるとして、そのサポート体制がどうなっているのかが問題です。原稿の手直しはあるのか、それがなければ「著者ひとりだけ」の本になってしまうので、読者に正しく伝える書籍は作れません。しっかりとクオリティを高めるためのアドバイスや修正の有無を確認しておきましょう。
出版する目的を明確にしよう!
大切なことなので、改めて【ビジネス書を出版する目的】についてお伝えします。ただし、ここではブランディングという視点以外からも考えてもらいたいと思っています。あなたが「著者としてどのようなゴールを目指すべきか」を明確にすることで、これからの執筆の指針(やる気)にもなると思います。
誰に何を伝えたいのか?
ビジネス書において『ターゲット選定』を間違ってしまうと思っていたような結果にはつながりません。出版がはじめての方たちの多くはターゲットを広く浅く設定しがちで、老若男女問わず読んでもらいたいと考える大失敗パターンに陥ることが多いです。とはいえ、細かすぎても意味がないので、少なくとも「30代・独身OL・〇〇に困っている人」くらいの最低限の設定は考えておきましょう。もちろん、はじめに想定した以上の人たちに読まれることは多いです。
自分がどうなりたいのか?
本を出版することで、あなたは「どうなりたいか」を考えてみましょう。ただ情報を伝えるだけで良いのか、そこから生まれる何かを得るために出版するのかによって、(細かなことまで言えば)文体なども変えていく必要があります。他にも読者とどのようにつながっていくかなどの戦略も必要になるかもしれません。出版した事実と、出版後の行動によって、あなたの道を大きく変化できる可能性があります。
ビジネス書の出版費用について
おそらく、自費出版という「自分でお金を支払ってまで本をつくる」行為にメリットがあるのかという疑問をお持ちの方も多いと思います。先にお伝えした通り、個人でも気軽に出版できる時代ですから、他人や業者(出版社)に依頼する必要性についても考えてください。また、どのような形態を希望するかによっても金額が変わるので、自分の目的に合ったものを選んでいくと良いでしょう。
格安の出版なら3万円から可能
格安の自費出版でメジャーなのは「電子書籍」です。ワードやメモ帳などで文章を作って、それを電子書籍としてアップするだけなので比較的個人でもできますし、御者に依頼しても3万円前後で依頼できます。ただし、あなたが『電子書籍しか出版できない人』(出版社からは出版できない人)という認識されるリスクはありますので注意が必要です。また電子書籍よりも紙媒体の方が読者とのつながりは深くなります。
書店に並べたいなら高額出費を覚悟
ビジネス書に限らず書籍の自費出版を希望する方に多い質問が「書店には並びますか?」という内容です。正直な話、並べることは大して難しいことではありませんが、それなりのお金が必要です。なぜなら「書店に並べる=書店の販売スペースを購入する」ということになるのです。つまり、本が売れるかどうかに関わらず、場所代を支払う必要があります。しかも、それは【期間限定】なので数週間後には書店から消えてしまいます。
クラウドファンディングの活用
自費出版を検討する際に、クラウドファンディングを活用するという選択肢もあります。もちろん、簡単なことではありません。正直、本を1冊売るよりも難しいかもしれません。すでに出版社などを通じて販売されている本なら、ある程度のクオリティが保証されますが、クラウドファンディングで募集している時点で書籍は完成していませんから、どんな商品になるのかも想像がつきにくいものです。想像できないものにお金を支払う人は少ないでしょう。
【超基本】ビジネス書のつくり方
ここでは簡単にビジネス書を出版する際のポイントをお話しします。例えば、あなた自身がこれまでに読んだビジネス書のなかで参考になるものがあれば、それを手本として真似ながらつくると失敗しにくいと思います。実際には、著者が変われば本には個性が生まれますので、それなりに真似しても別物になるので安心してください。もちろん、書籍の内容(本文)は真似してはいけません。
ビジネス書の基本仕様(サイズなど)
ある程度の持ち運びができるサイズかつ貧相に見えないサイズがオススメです。文章が「縦書き・横書き」によってもサイズを調整した方が良い場合もあります。そして、ビジネス書は専門書なので、ある程度の重厚感は必要だと思いますが、ハードカバーは(高額になるだけで)ほぼメリットはないので「ソフトカバー」が良いでしょう。
サイズ:四六判・B5判などが多め
ページ数:200ページ前後
製本:大きく2種類があるが一般的なのは「並製本」
<並製本>ソフトカバー
<上製本>ハードカバー
部数についての考え方
ビジネス書でブランディングを考えている場合、印刷部数は多い方が良いのは当然です。一般的に自費出版の場合、印刷された部数がすべて売れるわけではありませんので、店頭に並べる場合の目安としては少なくとも【2000部】は欲しいところです。もちろん、部数によって印刷費用が増えますので、おそらく150~200万円くらいは必要になるでしょう。受注生産方式の「オンデマンド出版」は部数を気にすることなく出版できるのでオススメです。
売れるビジネス書のつくり方
売れるビジネス書の定義は難しいところですが、基本となるのは「ターゲット」となる層の人口(数)によって販売数が左右されます。例えば、そのビジネス書の内容が1万人程度しかシェアのないジャンルであれば、10人に1人が購入したとしても1000冊程度です。しかし、この場合は数が少なくてもヒット作品として認識されるでしょう。
<読者のためになる情報を詰め込む>
ビジネス書において最も重要なのは『情報量』です。その読者が求めているものは「現状からの脱却」や「現状の打破」もしくは「悩みの解決」はたまた「未来への投資」など様々ですが、有益な情報が詰まっていることが最低条件になります。核心をつく内容が書かれていない書籍では読者は動きません。読者をファンにするには、今現在のあなたが持っている情報すべてを詰め込んでください。
<時代の先取りをする>
正直に言いますと、出版を希望するほとんどの著者は情報が遅れています。著者自身が書きたい内容は、今売れている書籍を目にして影響されていることが多く、実際に出版する時期に売れるかどうかは判断が難しいです。年間7万冊もの新刊が出ているわけですから、来月にも同じような内容(企画)の本が出版されるかもしれません。時代を先読みしながら執筆することはビジネス書の成功につながります。
<書籍タイトルを極める>
ビジネス書において「書籍タイトル」は重要な役割を果たします。また販売ルート(店舗販売・ネット販売など)によっても考え方は変わってきますので、読者や販売ルートの特性を意識しながら、必要なワードを見つけ出していく必要があります。また表紙のデザインなども、それぞれに合わせた設計があるので、自分の希望をプロに伝えてお任せしましょう。
ビジネス書を自費出版できる出版社(出版費用まとめ)
実際の出版費用に関しては、書籍の仕様(サイズ・紙質・装丁・ページ数など)や販売ルートによって大きく異なります。ビジネス書を出版したいとお考えの皆さんの目的に合わせた出版形態を選んでいくことがコスト削減につながります。
以下は、ネットで検索できる範囲での事実情報のため、あくまで参考として見ていただくものとして、各リンク先は掲載しておりません。気になる方はそれぞれの名称(出版社名・サービス名)で検索してみてください。
出版社名:玄武書房 【出版業者】
サービス名:ブランディング出版
価格:低価格
費用:198,000円(最大8万文字/特別割引が適用された場合)
特徴:講師や専門家の方たちの「ブランディング」に活用してもらうための低額の自費出版サービスです。タイトルや目次つくりから始まり、原稿にも適切な修正やアドバイスを行います。オンデマンド出版(ネット販売のみ)という在庫の概念がない新しい出版形態です。
★はじめてのビジネス書出版にオススメ★
出版社名:文芸社 【出版業者】
サービス名:共同出版(自費出版)
価格:一般的な価格
費用:150~200万円
特徴:自費出版の最大手なので、書店流通を必須条件と考えているかたにおすすめです。コンテストや原稿募集に応募した方たちに対しての勧誘などもあるようですが、最終的に出版を判断するのは本人です。
★知名度の安心感を重視する方にオススメ★
出版社名:幻冬舎(ルネッサンス)【出版業者】
サービス名:企業出版(自費出版)
価格:少しお高め
費用:75~350万円(条件によって大きく変動)
特徴:ビジネス書の自費出版としてメジャーな出版社なので、書籍(原稿)のクオリティアップも期待できます。オプションで電子書籍化(40万円)・カバーイラスト(20万円)・特設WEB展開(40万円)なども利用できるようです。
★書店数や部数の変動で金額の調整が可能★
出版社名:つむぎ書房 【出版業者】
サービス名:書籍づくり本舗
価格:低価格
費用:約30万円(200ページ・300部・書店配本あり)
特徴:少部数に強い出版社なので、費用を抑えながらも書店への配本が可能です。さらに著者の印税率が50%という面白いサービスです。原稿(構成)に対する修正やアドバイスはないので、すでに自分なりに原稿が完成している方であれば問題ありません。
★少部数を書店に並べたい方にオススメ★
出版社名:株式会社イシダ印刷 【印刷所】
サービス名:らく楽自費出版工房
価格:低価格
費用:B5サイズ/220ページ・100部=296,000円+オプション代=およそ30万円(目安)
特徴:基本的には著者が持ち込んだ原稿がそのまま出版されます。いわゆる「印刷所」による出版になります。別途費用は必要ですが、書店での販売も可能です。A4サイズは別途見積もりが必要なので、上記の金額よりも高くなるかもしれません。
★B5サイズであればオススメ★
その他
他にもビジネス書を含む自費出版が可能な出版社はあります。ただし、ホームページに詳細が書かれていない場合、あとから高額な出版費用を請求されるという事例も多数報告されていますのでご注意ください。何をサポートしてくれるのか、どこで販売されるのか、在庫の管理は問題ないか、その他費用は発生しないかなど、事前に確認すべき内容をお忘れなく。
・文藝春秋
・東京図書出版
・風詠社
・平成出版
・リーブル出版
・天才工場
【まとめ】ビジネス書を自費出版しようと思ったら・・・
最後に、ビジネス書の自費出版について重要なポイントをまとめておきます。
ぜひ自分に合った出版方法(サービス)を見つけて、実際に問い合わせをしてみてください。
出版費用の捻出について
ビジネス書はブランディングに効果がありますので、基本的には『先行投資』だと考えて良いと思います。ご自身のビジネスの拡大の足掛かりとしてどの程度を考えるかは、そのビジネスのジャンルや規模によっても変わってきます。億単位で動く規模なら、出版費用の300万円も格安な必要コストと思えるでしょうし、個人で講師やアドバイザー業をやられるなら数十万円程度で抑えておくのが良いと思います。出版は無理に行う必要はありません。ご自身のビジネスに合った規模(費用)で検討してみましょう。
出版の目的を整理する
あくまで先行投資の出版ですから、本来の目的を忘れないようにしてください。自分のブランディングをして、どのような顧客に向けて、何を発信してくのかが明確であれば道を外れることもないでしょう。間違っても「印税暮らし」などという夢のまた夢を追うようなことはしないでください。しっかりと自分のビジネスの基盤を作り上げていくことが重要です。
出版社・サービス選びのポイント
はじめての出版においては、どの出版社やサービスを選ぶのかは難しいと思います。もし資金的に余裕があるなら、書店に並べる300万の出版という選択肢もあるでしょう。本来の『目的』を改めて思い返してみて、何を重視すべきかを考えてみましょう。自分の目的や予算に合った出版サービスを選ぶことで、コスパのよいビジネス書の自費出版が可能になると思います。「費用(金額)面」、「サポート面(原稿の修正やアドバイス)」、「販売ルート(書店、ネット)」を基本として、あとは担当者の対応(丁寧さ・スムーズさ)などもチェックしておきましょう。
玄武書房で取り扱い可能なジャンル
当方でも「ビジネス書」の出版をサポートしています。基本的には【全てのジャンル】で対応可能です。専門的な内容に関しては著者の原稿が正しいものとして進めますが、不明点があれば詳細を確認しながら編集を進めていきます。
また特別な格安出版となる『ブランディング出版』もご用意しています。こちらは何かしらの講師や専門家として、書籍の出版を自分のブランディングに役立てたいと考えている方向けのサービスになります。
経営・金融・仕事術・起業、開業・戦略・経営理論・経営診断・人事・労務管理・中小企業・リーダーシップ・労働・マーケティング・セールス・営業・広告・宣伝・ビジネスマナー・企画・交渉・プレゼンテーション・資金調達・企業再生・倒産・ネットビジネスなど
ビジネス書出版に関するお問い合わせ
下記より、「ブランディング出版」にチェックを入れてお問い合わせください。
ご自身(講師や専門家)のブランディングにつながらない場合であれば「自叙伝出版」の扱いとさせていただくことがあります。