・自伝小説とは?
・一般人の自伝が読みにくい理由
・自伝小説の読み方
・自伝小説の書き方
・私のおすすめする小説
自伝小説とは?
自伝小説とは何か?という定義は難しいころですが、自伝・自叙伝のひとつであり、基本的には『ノンフィクション』でストーリー性のある作品と言えるでしょう。自伝を書くときに、どのようなタイプで書くかによって選択される一つになります。
自伝のタイプについては「自叙伝の正しい書き方」にまとめています。
これから自伝を書きたいと思っている人には見てもらいたい内容です。
自伝小説に似ているジャンルとして『私小説』があります。こちらは「自分(著者)」が体験した何かしらの事象をもとに作り上げられたフィクション(作り話)になります。つまり、自叙伝と私小説との違いを明確に言葉にするなら「その物語に嘘があるかどうか」です。
もちろん、自伝小説のなかにも、他人からすれば「真実ではない」内容が書かれているかもしれませんが、それは著者にとっての真実なので誰も確認しようがありません。小説だけでなく、文章には“書いた個人”の想いが強く反映されますので、少なからず全てがリアルとは限りません。
【立場が変われば、視点や考え方も変わる】
これは私が自伝小説を読むときに注目している点です。自伝小説において、主人公は著者本人になることが多いので、どうしても偏った視点になりがちです。もちろん、それを素直に受け止めて楽しむこともできますが、周囲からの視点を考察すると別の面白みも出てくるのです。
これは、私が考える『自伝小説の魅力』のひとつになります。
一般的な小説は、完全にストーリーが練られているので、その登場人物たちは、物語の「ゴール」に向けて、きっちり行動して(役割を果たして)いくわけです。しかし、自伝小説のゴールは「リアルな結果」であり、そのゴールを予想できた登場人物はいないのです。
そこには著者(主人公)の思惑とは違う、裏の感情なども多く見受けられます。私の意地の悪さもあるかもしれませんが、物語のなかの矛盾を楽しむというが大好きです。また自伝小説の場合、その多くの著者たちは「(文章や物語を書く)素人」なので、そのような“良い矛盾”も多く、作品としてのオリジナリティや面白みが出てくるのです。
一般人の自伝が読みにくい理由
そこで「なぜ一般人の自伝が読みにくいのか」と「どうすれば読みやすくなるのか」を考えてみましょう。それが分かれば、これから自伝を書きたいと考えている人も【読みやすい自伝】に近づけることができると思います。
理由1:感情移入ができない
あなた(著者)が一般人である場合、読者からすれば「どこの誰かも知らない人」になります。例えば、有名なタレントやスポーツ選手、政治家や経済界のボスなどの権力者であれば、読者はすでに“ある程度”のイメージを持っています。そのような人たちの自伝では、読者の持つイメージとのギャップや共感を生みやすいのは当然です。とすれば、自伝の出だし(「はじめに」や「第一章」など)において、著者の“人となり”を表現しておく必要があります。もしくは、書籍の最後にある著者の紹介文などに力を入れるべきでしょう。
理由2:全体の構成が下手すぎる
自伝の多くが「編集担当がいない自費出版が多い」というのが問題点かもしれません。仮に、担当者がいたとしても、その担当者の役割は『ただ形にして出版すること』だったということになります。面白くない自伝というのは、そのような仕組みで出版されていることが多いです。著者的に「本を出版した」という事実だけで満足できるなら、それで良いのですが、読者に何かを伝えたいのであれば結果がついてきていないと言えるでしょう。しっかりと自伝においてもアドバイスをしてくれる出版業者を選んで行きましょう。
理由3:何を伝えたいのかがわからない
ただ事実を順番に並べていけば小説ができるという勘違いをしている著者がいるのかもしれません。自伝小説は“単なる自伝・自叙伝”ではありません。小説を名乗るからには「エンターテインメント作品」であることを意識すべきだと思います。そこには読者がいます。まずは、自伝を出版する目的は何かを改めて考えてみましょう。きっと単なる事実を伝えたいわけではなく、その経験から得た“発見”や“気づき”を読者に伝えたかったはずと思います。今一度、読者に「あなたの伝えたいこと」を考えてください。
理由4:ストーリーに盛り上がりがない
先にお伝えしたように「自伝小説」と「私小説」は別物になります。リアルにこだわって時系列に沿って物語を進行していけば、小説において最も重要な構成である『起承転結』が成立しない場合があります。さらには、登場人物の普通さに飽きてしまうかもしれません。そこで、私が提案したいのは「私小説として仕上げていく」ことです。例えば、シャーロックホームズにおいて「ワトソン君」は非常に大きな役割を果たします。主人公を上回る活躍をしたり、時には邪魔者になったり、その存在は物語を盛り上げる存在になります。何かリアルにはないエッセンスが入っても良いのではないでしょうか?
理由5:読み終わりの満足感がない
これまでの理由のまとめみたいになりますが、著者の人柄や魅力、おもしろい起承転結、読者に伝えたいこと、魅力的な登場人物、このような要素がなければ読者は付いてこれません。しっかりとトータル的な完成度を高めることが大切です。それにはプロ(編集担当者)のアドバイスが不可欠だと思います。ただ出版すれば良いわけではないと思いますので、しっかり最後まで読まれて「読者に想いを届ける」ことを意識してもらいたいです。
自伝小説の読み方
最初にポイントをまとめますと、積極的な読み方は「読み込むこと」であり、消極的な読み方は「読み込まないこと」になります。矛盾しているようですが、どちらも楽しむためのポイントです。
<積極的な読み方>
・まずは“その人”を知ること
著者(主人公)のことを知らなければ、ほとんど感情が動かないと思います。本に描かれている主人公がどんな人物かを読み込んでいきましょう。例えば、身内や近しい友達など、似たような人がいれば(主人公の)著者と置き換えてみても良いかもしれません。
・いろんな出会いを楽しむこと
自伝小説において、最も楽しいのは『出会い』だと思います。そこには著者が経験したリアルな出会いがあります。それは『人』であったり『本』や『映画』、もしくは『商品』や『組織』かもしれません。読者のこれまでの人生にはなかった“新しい出会い”があるはずです。
<消極的な読み方>
・クセを受け流すこと
やはり自伝小説の多くは「素人」が書いた作品です。そこには個性が出てしまいます。文章のクセや言い回し(くどい、きつい、堅苦しいなど)が、ちょっと読みにくさを感じることもあります。これは『個性として受け入れる』しかありません。他の良い部分を楽しんでください。
・流し読みをすること
先にも書きましたように、自伝小説では(良くも悪くも)矛盾が発生している作品が多いです。私のように、その矛盾を楽しむまような変人的な思考までは要求しません。ただ、矛盾していることを追求しすぎて、その自伝小説の大枠を見失わないようにしましょう。
自伝小説の書き方
ひとことで言えば【読者の存在を意識すること】です。
そして「一般人の自伝が読みにくい理由」に全てが詰まっていると思います。
自伝小説を出版したいと思った人(思っている人)は、自分の人生から学べる“何か”があると考えているはずです。それがなければ出版したいとは思いません。もし、その伝えたい目的(何か)が無いのであれば『面白い自伝小説』を書くことはできないでしょう。小説における目的はストーリーの「ゴール」に影響していくので、その目的がしっかりしているほど、途中のストーリーも深みが増していきます。
自伝の書き方については「自叙伝の正しい書き方」をご確認ください。
こちらには『ストーリー型タイプ』の自叙伝の書き方があります。
今回の自伝小説はストーリ型タイプを参考にしていけば大まかな流れは問題ないと思いますが、何度も同じことを言わせてもらいますが、読者の存在を意識した構成(起承転結)と、魅力的な登場人物などを目指してください。
何よりプロ(編集担当者)のアドバイスが受けられる出版業者を選んでください。
当方(玄武書房)でも、積極的に自伝小説は取り組んでいこうと考えていますので、ご興味があればお声掛けください。上記の「自叙伝の正しい書き方」のページを確認したうえで、ご連絡をいただけるとお得な情報がありますのでオススメです。
私のおすすめする小説
・本は“奇跡の出会い”である!
自伝小説というのは、少し特殊なジャンルだと思っています。特に「一般人の書いた自伝小説」であれば、読者層(読みたいと思う人)もかなり絞られていきます。あなた(読者)が一生懸命に探して、自分に合うかもしれない、興味のある作品に出会うことが素晴らしいことだと思います。
・大いに“ハズレ”の本を楽しもう!
もともと自伝小説を探している人のなかには「自分も書きたい」とか「参考になる本を探している」というような人も多いのではないでしょうか。正直、面白すぎる自伝小説を読んでしまうと、あなたは“書くこと”諦めてしまうかもしれません。それは本当にもったいないことです。はっきり言います!自伝小説は【ハズレの作品が多い】です。しかし、確実に勉強になると思います。そして、あなたのやる気を活性化してくれると思います。
【作品選びのヒント:ジャンル別に本を探す】
あなたの好きなことは何ですか?
もし自伝小説(作品)選びに悩んでいるなら、著者とあなたの「共通点」を見つけてみてください。少しでも共通点があると、赤の他人よりは感情移入しやすくなります。同じような体験記があれば、それでも良いと思います。きっと、この記事や「自叙伝の正しい書き方」を読んでいただいた、あなたの方が面白い自伝小説を書けると思います。