ブランディング出版とは?得られる3大メリットと費用を解説

ブランディング出版とは、専門家や講師などで活動している方が自身のアピール(ブランディング)として書籍を出版することです。著者負担なしの商業出版ではなく、一般的には「自費出版」と同等の扱い、もしくは「共同出版」(出版社が一部の費用を負担する)のどちらかのパターンになります。著者の負担がどれくらいになるのかがポイントです。

この「ブランディング出版」という名称には明確に定まった意味はありません。それぞれの出版社や印刷所がサービスの名称として使っているものです。ただし、通常の自費出版との違い(共同出版のみ)は、出版社側も出版後の販売部数の伸びにそれなりの期待を感じている場合があります。市場的に売れる可能性があるからこそ、通常よりも割安な費用で出版を請け負っています。

ブランディング出版とは?

何かしらの専門家(コンサルタント、アドバイザー等を含む)が自己ブランディングの手段として『本の出版』を行うことがあります。出版業界やブランディング出版の現状などを把握しておくことが重要です。

出版業界の現状について

現在は『本が売れない時代』と言われていますが、必ずしも需要がなくなったわけではありません。ネット社会となり情報が出回っているため、本を買う前にネット検索という手段で用を済ませる人も増えているのは事実です。さらに、年間7万冊もの新刊が発行されているため、1つの書籍の価値が下がって見えてしまうという状況と言えるでしょう。

そのような中でも小説やラノベなどのエンタメ系の書籍は根強い人気があります。またビジネス書や実用書であっても、オリジナリティのある差別化された作品は売れています。しっかり、差別化および需要のあるジャンルの書籍であれば「売れる本」になる可能性は十分にあります。また時代の流れ(流行)などもあるので、出版後しばらくして注目されることもあります。

ブランディング出版について

専門家や講師の皆さん、他にもアドバイザー、カウンセラー、トレーナーなどは『自己ブランディング』する必要があります。特に、駆け出しの新米であれば実績はありませんので、何かしらの第三者から『プロ』と認識されるような手段が必要になります。もちろん、それなりの実績があっても知名度がなければユーザーから求められることはありません。

そのような状況下で何をすべきか、もしくは何ができるかを考えていくことが大切です。ブランディング出版は「本の出版」という形で専門家の知識を提供することで、その道のプロとして意識してもらえるキッカケになるものです。また出版という実績において、出版社というプロが認めた専門家(著者)ですから、一般ユーザーからの信頼も高くなるのは必然です。

出版による3つのメリット

本を出版するメリットは多数ありますが、今回は『ブランディング効果』を主体に考えていきたいと思います。

出版した事実で専門家として認識される

あなたが専門家やプロとして認識されるのは簡単なことではありません。そのハードルを簡単に超えてくれるのが本の出版だと思います。仮に自分が出版しなくても、雑誌などのメディアに取り上げられることでも認知はされます。ただ認知されるだけなら手段はいくらでもありますが、出版の強みは「読者にあなたの知識量を見せつけることができる」という点です。

本には著者の想いがこもった情報や知識が満載です。それらが読者に届くことで、あなたがプロであると確実に理解してもらえます。もちろん、本に書かれている内容の価値が薄いものであればブランディング効果はありませんし、プロと認められるわけもありません。ブランディング出版において、クオリティの低い書籍を作ってしまうと逆効果になるリスクがあることを忘れないでください。

各種メディアからの取材オファーがある

やはり出版した後のブレイクのキッカケとなるのは『メディア露出』によるものが大きいです。新聞・ネット・雑誌・テレビの順番で影響力は増加していきますが、小さなメディアに取り上げられることも重要です。特に週刊誌などの雑誌媒体は、メディア業界の人たちが目にする機会が多いです。つまり、次のメディアにつながる大きなチャンスとなっていくのです。何よりメディア露出は連鎖します。

例えば、あなたが現在「〇〇アドバイザー」など名乗っていたとして、それは勝手につけた『かりそめの名称』でしかありません。しかし、出版したことによってリアリティが生まれて『正式名称』となります。実際にテレビ出演の際の肩書きとして採用されることも多いです。それは第三者が認めた証拠であり、自分発信の怪しげな肩書きとは違い、テレビ視聴者や雑誌読者などにも浸透しやすいです。

<メディアの種類>
・新聞(地域・全国)
・雑誌(情報誌・専門誌・業界誌)
・インターネット(ヤフーニュース・専門サイト)
・テレビ(情報番組・バラエティ番組)

書籍を手にした読者がファンになる

現実として「出版して人生が変わった」という方が多くいらっしゃいます。それは出版を契機にさまざまな出会いが増えていくからです。先ほどのメディア露出が増えるという点も要因のひとつですが、やはり出版では読者とのつながりを強く感じられることが多いです。あなたの本に共感した読者は、きっと“あなたのファン”となってくれるでしょう。

また新たな同士や仲間とつながるチャンスです。実際に考古学の書籍を出版された方は、同業者とのつながりが増えて、全国各地での講演会の依頼される状態になっています。それまでは少人数でやっていた研究でしたが、全国まで一気に輪が広がり、自分が知らなかった新しい情報や知識も入手できるようになりました。1冊の本の出版が人生(環境)をがらっと変えてしまったのです。

<つながりの増幅>
・読者
・メディア関係者
・業界関係者(同業者・異業種)

ブランディング出版の費用

ブランディング出版は自費出版もしくは共同出版(協力出版)になります。その書籍のジャンルや内容(市場の可能性)によっても、どのパターンとして扱ってもらえるかは変わってくると思います。

基本は自費出版の費用と同じくらい

完全な自費出版の場合、(電子書籍を除いて)格安な場合でも20万円くらいから書店に並べたいなら250万円までと幅広いです。基本は著者個人の経済状況や諸条件によって判断していけばよいと思います。ただし、現時点では知名度が低い著者であれば、金額的な無理をせずに堅実なブランディング出版を選んでいくべきだと思います。

書店に並べたとしても、読者が手に取ってくれるとは限りません。売れなければ数週間で本屋さんからは姿を消してしまうのです。リアルな話をすれば、7~8割以上の書籍は売れ残り、売れ残った書籍は著者の知らぬ間に廃棄されることも多々あります。それは「ブランディング出版」という名称の単なる自費出版として扱っている出版社も存在するためです。

出版社の負担ありの共同出版がベスト

その出版社が自費出版を行っている場合、共同出版のブランディング出版であれば割安になります。一般的には5~6割程度の費用で出版できると思います。この共同出版パターンの最大のメリットは、書籍の売れる可能性が高いと判断されているという点でしょう。もちろん、絶対に売れるわけではありませんが、出版社というプロの視点から可能性を感じている証拠です。

この場合の費用で言えば、10~50万円くらいが目安かなと思います。印刷費を著者に負担してもらいつつ、編集などの社内経費の費用分を割り引いているイメージで良いと思います。これなら売れた分だけ出版社も利益が出ていくわけですから、ある程度の書籍の宣伝やアピールにも力を入れてくれる可能性も高くなります。

コストパフォーマンスを考えて判断しましょう!

ブランディング出版の費用の目安は10~250万円とピンキリになります。自費出版か共同出版かによる部分が一番大きいと思うので、出版社に事前に確認してみても良いかもしれません。例えば、「そちらのブランディング出版は著者が100%負担ですか?」という質問がシンプルで分かりやすいかなと思います。できれば共同出版パターンのサービスを探しましょう。

出版の目的としては「ブランディング」になるので、それが見込めるかどうかもポイントになると思います。当たり前ですが、書籍のクオリティが低いと効果はありません。むしろ、マイナスのブランディングになるリスクもあります。ちゃんと読者に伝わる編集や修正を行ってくれる出版社でなければ、あなたが求めるブランディングとは程遠いものになってしまいます。

商業流通ができる出版パターン

商業流通(一般ユーザーが購入できる)できるパターンは複数あります。それぞれのメリットは費用面だけでないため、その特性を知っておく必要があります。

<出版物の流通パターン>
・書店への配本
・ネット販売
・電子書籍

書店への配本

自分の書籍を「本屋さんに並べたい」と思っている人は多いと思いますが、これがもっとも費用がかかります。自費出版の場合、約100~150万円くらいのコストがかかると思っておきましょう。実際のところ、書店に並ぶと言っても「自分でスペースを購入」して置いてもらっているだけです。本屋さんも売れたらラッキーくらいにしか考えていません。

また「書店に並べば売れる」という勘違いはしないでおきましょう。基本的には良くて6~7割が売れる、ほとんどが7~8割の書籍は売れずに処分される(破棄や引き取り)というイメージで良いと思います。あまり期待しすぎてはいけません。さらには、在庫の取り扱いなどのトラブルも多いので気を付けておきましょう。しっかり出版社への事前確認をしておきましょう。

ネット販売

今の時代、知名度のない著者の主戦場となるのはネット販売だと思います。上記のように書店に並べても売れませんから、場所代のような無駄なコストをかけずに堅実な商業流通ができます。オンデマンド出版(受注生産方式の出版)でない場合、在庫の管理費などが必要になることがあります。ただし、出版費用としては格段に抑えられます。

電子書籍

電子書籍は「ブランディング」としての価値は低くなります。なぜなら、電子書籍は誰でも(個人でも)出版できてしまう時代です。簡単に言えば「電子書籍でしか出版できない」もしくは「出版社から出版できない著者」というイメージを持たれたとしたら、ブランディングどころかマイナスのイメージを与えてしまうリスクもあります。

ブランディングに向いた出版とは?

ブランディングに向いた出版は、基本的には『リアルな紙の書籍』だと思います。一般的には印刷費用がコストの増加につながるわけですが、オンデマンド出版(受注生産方式の出版)などの新しい出版形態もあります。在庫(無駄な印刷)がなくても『リアルな紙の書籍』を出版できる時代になりました。出版したい人たちは多くの情報を集めていくと、自分に合った出版が見えてくると思います。

印税について

基本的に「ブランディング出版」という名称であれば著者の印税が発生すると思います。ただし、初版の印税は無しなどの条件を付けている出版社もあるため、事前の確認と注意が必要になります。

出版実績がない著者の場合

一般的な印税としては5~10%程度が目安になると思います。自費出版(著者が全額負担)の場合の方が印税率は高くなり、共同出版(出版社が一部負担)の方が低くなる傾向にあります。

出版実績がある著者の場合

過去に出版したことがある著者の場合、以前の書籍の売れ行きなどによって条件が変わることがあります。過去の実績が大きい著者は(ごく稀にですが)15%くらいの契約をされている方もいるようです。

ブランディング出版のすゝめ

きっと出版することにメリットを感じている皆さんは『ブランディング』の本当の意味を理解していると思います。第三者から認知されていると感じる手段でなければ意味がありません。

共同出版なら割安で出版できる

ブランディング出版でも「共同出版」タイプの出版社を選んでいくと良いと思います。その場合には出版社側の負担もあるため、やはり事前の企画書の提出(審査)がありますが、それさえ通過すれば格安の費用で利用できます。一般的な商業出版よりは採用基準は低めになることが多いので、ぜひ挑戦してみて欲しいと思います。

確実にブランディング効果が見込める

出版のプロが認めた書籍でなければブランディング効果はありません。つまり、出版社経由での出版が“マスト条件”と言えるでしょう。また電子書籍ではなく紙の書籍である必要性もお伝えしました。どんなに格安の出版方法とは言え、著者が費用を負担するわけですから確実な効果を得たいものです。また出版社によるプロによる編集も大切なポイントになります。

執筆することで自分もレベルアップできる

何より出版の面白いメリットとして「著者のレベルアップ」があります。これは単なる自費出版では難しいかもしれません。出版や編集のプロと一緒に本を作るという経験において、読者に何を伝えるべきかという点が明確になっていきます。この経験や知識は今後のユーザー(顧客)に対しても活かせるため、より専門家としての活躍の場も広がってくると思います。

商業出版できなかった場合の選択肢

著者の負担があるブランディング出版は、商業出版が叶わなかった場合の選択肢となります。一般ユーザー(読者)にとって、商業出版であろうがブランディング出版(企画出版や自費出版)であろうが、出版できるだけの知識を持つ専門家であるという認識においては同じです。

まずは商業出版に応募してみましょう!

現時点(2023年)の調査段階では以下の出版社は募集をしていました。最近は募集を取り止める出版社も多いので、ご自身で確認してみてください。ほとんどの各社のホームページなどに問い合わせ窓口(ページやフォーム)があります。

・ダイヤモンド社(郵送のみ)
・ディスカヴァー・トゥエンティワン
・あさ出版
・ぱる出版
・かんき出版
・明日香出版社
・KKロングセラーズ(自費出版への誘導もあり)
・文芸社(自費出版への誘導もあり)

商業出版について
自費出版について

商業流通できる出版