自費出版の書籍を寄贈する際の注意点まとめ

きっと自費出版であっても、自分が作った書籍を少しでも多くの人に読んでもらいたいと考えるはずです。そのときに思いつくのが『図書館への寄贈』だと思いますが、実際のところ、自費出版の本を置いてもらえるのでしょうか?

答えから言いますと、「置いてもらえる可能性はある」が、どんな内容の本でも良いわけではありません。ほぼ需要がないものや、偏った内容の書籍は返却されたり処分されることもあると思います。

図書館に置いてもらいやすいジャンル

基本的には、寄贈すれば“どのような本でも置いてもらえる”可能性はありますが、後に述べる【寄贈には好ましくない書籍】の場合は送ること自体をやめた方が良いと思います。

図書館の担当者(もしくは館長)が判断するのですが、図書館はスペースが限られていますので、すべての本を置くことはできません。

例えば、無名の著者でも置いてもらえるパターンとして、地域性の高い内容の書籍(地元をテーマにした童話や絵本、地域を研究した歴史関連など)は喜ばれることが多いです。

寄贈には好ましくない書籍

・書籍としての品質が低いもの
・テーマ性の低い自叙伝(ただの記録レベル)
・一般的でない偏った思想のもの
・特定の政治団体を支持する内容
・特定の宗教を支持する内容
・対象の図書館に合わないもの

自分の本を寄贈する方法について

1.図書館をピックアップ
まずは書籍に関連する(関係性のありそうな)図書館を探してみましょう。例えば、「本文に登場する地域」の図書館や「自分が過ごしてきたゆかりのある学校」の図書館などが考えられます。

2.寄贈の受付を確認
住所を調べる際に、ホームページ(コンタクトや問い合わせページなど)もチェックしておきましょう。そこに「書籍の寄贈は受付しておりません」のような記載がある図書館もあります。その図書館は送っても受け付けてもらえない(廃棄されるだけ)ので選択肢から外します。

3.送付状の作成
書籍を勝手に送りつける形になりますので、ちゃんとした『送付状』をつける必要があります。事前に電話などで担当者に確認した方が確実ですが、なかなか時間の都合など手間もあるため、事前の連絡なしに送ってしまった方が双方に都合が良いと思います。送付状には、作品への想いや、その図書館との関連性など、担当者が納得できるような内容が書かれていると置いてもらえる可能性が高まります。

4.送料は自分で負担
当たり前ですが、着払い(図書館の負担)などで送ってはいけません。これまでの経験上ですが、クリックポスト(送料185円)で送るのが手頃で使いやすいですが、書籍の重量によっては送れません。決して、相手側(図書館側)の負担が発生しないように十分に注意してください。

5.送った後に連絡しない
あくまで自分の本を勝手に送りつけるわけですから、その後に確認(強要)をしてはいけません。送った後は、すべて図書館側の判断で扱われることを許容できる人しか寄贈はしてはいけません。最悪の場合、廃棄されることも仕方がないと割り切るしかありません。もちろん、置いてもらえないことが分かった後でも、返却を求めたりしてはいけません。

図書館の種類と対応について

国立図書館は、基本的にどんな本でも寄贈が可能です。これは本を歴史の一部と捉えて、すべての本を保存する役割を担っているからです。2冊を送ると、関東(東京)と関西(京都)の国立図書館で保管されることになるようです。

公共図書館(市立図書館など)では、各館によって受付方法や条件が設定されています。ほとんどの場合、ホームページに記載されていますので必ず確認してください。例えば、本のカバーがないもの、ISBNがないものなどを受け付けない場合が多いです。

大学図書館・小中高校の図書館は、各学校の担当者が管理していることが多いです。こちらもホームページを確認して、特に受付に関する内容が書いていなければ送っても問題ありません。

図書館以外の寄贈先について

子ども向けの絵本や童話作品であれば幼稚園への寄贈が可能です。この場合は、ちゃんと最低限の作品のクオリティがあれば、かなりの高確率で喜ばれます。特に、絵本などは予算も限られているので、喜びの返事などをいただけることも多いです。

他にも、各種施設(福祉や介護・児童養護など)への寄贈も喜ばれます。ただし、書籍の内容やターゲット層と合っている必要はあります。こちらの場合は、普段から本の寄贈を受けている図書館とは異なるので、事前に連絡をしておいた方が良いでしょう。

おまけ:献本について

自費出版した本を多くの方に読んでもらうために、図書館への『寄贈』とは異なり、『献本』というシステム(やり方)もあります。ただし、読まれるかは分かりませんし、必ずしも効果があるとも言い切れません。

献本とは、「著名人」や「専門家(批評家)」などへ、本をプレゼントすることです。その本を読んで気に入ってもらえたら、何かしらで紹介してもらえる可能性があります。

ほとんどの場合、もともとの関係性などが影響しますので、実際に会ったことがない(関係性のない)人へ贈ったとしても読まれることはありません。