自叙伝とは、著者自身が『自分の人生』を書き記した伝記です。これまでの“人生を全て”描くものだけではなく、一定期間のあるエピソードを“切り抜いて”描く場合などもあります。もし、幼少期の生い立ちのエピソードが、今につながるなら、その経験を文頭や回想として盛り込んでいくと良いでしょう。
・自叙伝とは?
・自叙伝を出版するメリットとは?
・自叙伝の読者は誰ですか?
・読まれる自叙伝とは?
・出版する喜びについて
自叙伝とは?
やはり自叙伝とは人に読んでもらうことを目的としていますので、少しでも「自分を良く見せたい」という欲は出てしまいます。恥ずかしい部分を隠したり、当時よりも良く見えるように描いたり、誰もが悪意なくしてしまうものです。
しかし、それで良い!のです。自叙伝は一つの作品(書籍)ですから、その先には『読者の存在』が不可欠になります。誰にも読まれない自叙伝とは単なる紙切れ状態です。ちゃんと読者が読みやすかったり、楽しめるような創意工夫が必要になるのです。
もちろん、自叙伝の基本はノンフィクションです。ここで言うノンフィクションの定義とは、全てが事実のみとは限りません。そこには著者や制作者の独自の視点や考えが強く表現されます。つまり、他の第三者から見れば、事実以外のことも含まれる可能性が高いということです。自叙伝のパターンとしては、大きく分けると2種類があります。
<生い立ち型>
主人公(著者)の生まれや育ち、幼少期の家族構成や環境など、誕生から(これまでの)人生の全てを描いていくタイプです。どうしても難しいと感じるのは、全体的に文章が長くなったり、逆に話を早く進めようとして飛び飛びになったり、全体の締まりがなく、ダラダラした自叙伝になりがちです。
人生のなかでより重要なエピソード(複数)を中核に持ってきて、いわゆる「起承転結」という形に近づけるような努力が必要です。例えば、恋愛遍歴を中心に最愛の人との出会いを描いたり、父から学んだ教えを仕事論として実践する姿を描いたり、何かしら本筋になるストーリー性があるとまとまりやすいです。
<エピソード型>
例えば、事業での成功を記すとか、スポーツでの功績を記すなど、全生涯ではなく一部を切り取ったパターンがエピソード型になります。この場合には、現時点である程度の結果や結論が出ていると思いますので、書籍(文章)のゴールが設定しやくなります。
しっかりと起承転結を意識しておけば、ダラダラ感も少なく話の展開も早くなるはずなので、読者が読みやすい本になる可能性があります。作品のクオリティを決めるのは、何のエピソードを加えて、何を排除するかを最初の段階で、どこまで絞り込んでいけるかがカギになるでしょう。
自叙伝を出版するメリットとは?
一般的に自叙伝とは「一個人の人生を描いたもの」なので、他の書籍と比べると「一般読者には読みにくい本(面白みの欠ける本)」と思われがちです。現に、タレントや著名人、有名企業家などの自叙伝以外でヒットした自叙伝は数えるほどしかありません。
ここで自叙伝における著者のメリットとは何かを考える前に、まず『読者のメリット』を理解して執筆することができれば、必ず著者のメリットとなって戻ってきます。つまり、その自叙伝を読むことで得られる読者のメリットを考えて行けば良いということです。
著者の人生を記した自叙伝だから、ただ経験の羅列をしていけば良いわけではなく、読者が受け取るメッセージ性や感じて欲しい気持ちをより分かりやすく伝える技術も必要になります。それは文才やセンスもありますが、重要なのは第三者のアドバイスやサポートだと思います。
本気で書籍としてのクオリティを考えるのであれば、プロの視点で見てもらうのがベストです。出版社を決める際には、ただ本の形にするだけの出版社ではなく、しっかりと内容を読んで意見やアドバイスがもらえる出版社を選んで行きましょう。
自叙伝の読者は誰ですか?
結局、自叙伝とは誰に読まれるものでしょうか?もし、あなた(著者)が考えている読者が、家族のような身内だけであるなら、何を書いても良いですし、どんなクオリティであっても問題ありません。そうではなく、もし一般の読者に読んでもらいたいのであれば、自叙伝の商業出版という形になるわけです。
自叙伝の商業出版は、一般的には出版社にメリットの少ない本なので、ほとんどが自費出版になるわけです。しかし、自費出版(著者が費用を全額支払っている)だからと言って、書きたいことを書くだけではいけません。その本が読まれることを意識して書かなければ、お金を使って出版する意味はなくなります。
根本的な考えとして、著者の人生や経験を多くの人に知ってもらいたい(残したい)わけですが、読者ターゲットを設定していない自叙伝は、誰の手にも届きませんし、読まれても何も感じない本になります。著者の体験をより理解して、強く共感する読者はどのような人なのかを想像してください。
自費出版の自叙伝とは言えども、そこに読者がいることを忘れずに。その“あなたの本”を読む人をイメージできれば、何を伝えるべきかも見えてくるので、執筆の際にも迷いが少なくなるでしょう。出版すること、それが読まれること、それらのゴールを明確にしてください。
読まれる自叙伝とは?
せっかく自叙伝を書いたのに読まれないのは悲しいことです。逆に、一冊でも手に取って読んでもらい、そこで何かを感じてもらえたら幸せです。読まれる自叙伝とは、読者に「感動」や「感銘」など気持ちの揺れを与えることが大切ということ。
私の方で自叙伝とは何か、どのように書いていけば良いのかをまとめています。そちらの方にある「正しく伝える」技術や知識を参考にして、より読者を意識した作品作りを目指してください。
このようなノウハウを知識として持っておくことで、執筆がスムーズになるのと同時に、自信を持って伝えることができるはずです。やはり著者の自信の無さは文字のなかに現れてしまうので、最低限の知識や技術的なことは覚えておいて損はないでしょう。
出版する喜びについて
すでにお話してきた通り、自叙伝とは単なる「自己満足」の作品ではありません。それが商業的なルートで販売されるなら尚更です。自叙伝の出版における喜びの第一は『本』というひとつの作品になることの喜びがあります。
次に、あなたが書いた本が読まれることの喜びがあります。それを感じるのは、やはり感想やレビューのようにリアルな声として伝わってきたときだと思います。それが家族であっても同様です。普段は恥ずかしくて言えない気持ちを聞くキッカケにもなるでしょう。
そして、自叙伝を出版することで得られる喜びは著者だけではありません。あなた(著者)の経験や知識に共感してくれた読者や新しく学ぶことができた読者は、その本に出会えたことに喜びを感じます。そのためにも、読者の存在を意識して書くことが大切になります。
以下は自叙伝だけではありませんが、玄武書房で実際に出版された著者の方々の声をまとめています。今後、あなたが著者としてデビューしたいと考えているのであれば、きっと共感できる部分があると思います。著者としての先輩たちの想いをご覧ください。