「ISBNって必要なの?」
「書店に並べるには、どうすればいい?」
「納品って、具体的に何をすれば?」
小説を“正式に出版”しようと思ったとき、多くの人が最初につまずくのがこの3つです。ISBN(国際標準図書番号)はもちろん、書店流通の仕組みや納品手続きには、知っておくべき基本ルールがあります。

本記事では、初心者でも実践できる小説の販促・宣伝の基本から、SNSでファンを増やす具体的なコツまで、小説出版後にすべきことをわかりやすく解説します。あなたの物語をもっと多くの読者に届けるヒントが、きっと見つかります。
1.小説を「正式に出版」するとはどういうこと?
書き上げた小説を「正式に出版する」とは、どういう意味なのでしょうか。ただ印刷して配るだけではなく、ISBNを取得し、書店流通に乗せ、納品などの所定の手続きを経て、多くの読者の手に届く形にすることが“正式な出版”の第一歩です。創作と同じくらい、出版方法や準備も重要です。
1-1 小説を書いたあとに必要な出版準備
小説を完成させた後、すぐに販売できるわけではありません。正式に出版するには、いくつかの準備が必要です。まずはISBN(国際標準図書番号)の取得を検討しましょう。
ISBNがあることで、書店流通や図書館などへの登録が可能になり、本としての信頼性が高まります。次に、印刷仕様の決定、出版者情報の登録、納品スケジュールの調整など、実務的な手続きが続きます。
これらの出版準備をきちんと整えることが、作品を多くの読者に届けるための第一歩となります。本記事では、それぞれの手続きについて詳しい方法を解説していきます。
1-2 商業出版と自費出版で異なるポイントとは
小説を出版する方法には、大きく分けて商業出版と自費出版があります。商業出版は出版社が費用を負担し、編集や販売も行う形式で、ISBNや書店流通も出版社が手配します。
一方、自費出版では著者自身が費用を出し、ISBNの取得や納品手続き、書店への流通などを自ら行う、または代行業者を利用する必要があります。つまり、どちらを選ぶかによって出版方法や準備の手間が大きく異なります。
小説を正式に出版するためには、自分に合った方法を見極め、適切な流れを理解しておくことが重要です。本記事では両者の違いを比較し、初心者にもわかりやすく解説します。
2.ISBNとは何か?出版に欠かせない番号の正体
ISBNとは「国際標準図書番号」のことで、出版物を一意に識別するための13桁の番号です。書店流通や図書館への登録、販売管理などに必要不可欠で、小説を商業流通させるには取得する必要があります。
ISBNを取得することで、自分の本が“市場に流通する出版物”として認識され、書店・流通業者・読者との接点を広げることができます。

2-1 ISBNの基本知識と役割
ISBN(International Standard Book Number)は、世界共通の図書管理番号として出版物に付けられる識別コードです。ISBNがあることで、出版物ごとに固有の情報が紐づけられ、書店流通や図書館、オンライン販売での検索・管理がスムーズになります。
たとえば書店のPOSシステムでは、このISBNを使って在庫管理や販売登録が行われます。小説を正式に出版し、広く流通させるためには、この番号を取得しておくことが不可欠です。
特に自費出版を考えている場合は、ISBNを取得しないと書店での取り扱いが難しくなるケースもあります。出版の第一歩として、この番号の仕組みと役割をしっかり理解しておきましょう。
2-2 ISBNがあると本はどう変わる?
ISBNが付与されることで、小説は“単なる印刷物”から“正式な出版物”へと格上げされます。ISBNのある本は、書店や取次業者が取り扱いやすくなり、オンラインショップや図書館への登録もスムーズに進みます。
また、ISBNが記載された書籍は信頼性も高く見られ、読者にとっても安心材料になります。さらに、Amazonなどのオンライン書店での販売登録には、ISBNが必須の場合もあります。ISBNを取得することで、書店流通の可能性が大きく広がり、小説の読者層を広げるチャンスが生まれます。
出版方法を問わず、書籍としての正式な立場を得るためには、ISBNの重要性を理解しておくことが欠かせません。
2-3 ISBNの取得方法と注意点
ISBNを取得するには、日本では「日本図書コード管理センター」への申請が必要です。個人でも取得可能ですが、発行者(出版社)名義を登録する必要があり、初めての場合は新規登録料や発行単位に応じた費用が発生します。
自費出版でISBNを取得する際は、発行者として自分の屋号や個人名を登録するか、代行サービスを利用する方法もあります。注意点としては、取得したISBNは基本的に他の書籍には使い回せず、版や形式が異なるごとに新たな番号が必要となる点です。
また、ISBNを取得しただけでは書店流通には直結せず、納品や登録の作業も別途必要です。小説を正式に出版するためには、ISBN取得後のステップまで見通した準備が大切です。
3.書店流通とは?小説を全国の書店に届ける仕組み
書店流通とは、出版した本を全国の書店に届けるための仕組みのことです。小説を広く販売するには、この「流通」に乗せることが重要です。
ISBNの取得や納品といった準備だけでなく、取次会社との関係や在庫管理の方法まで、出版には流通面の理解が欠かせません。
3-1 書店流通の仕組みを知ろう
小説を全国の書店に届けるには、書店流通という流れに乗せる必要があります。これは、出版された書籍が出版社から取次会社を通じて各書店へ配送・販売される仕組みです。
基本的には、出版社が取次会社に書籍を納品し、取次が各地の書店に分配します。この流通ルートに本を乗せることで、全国の読者に届く可能性が生まれます。
ISBNがなければ流通には乗れないため、まずは正規の出版物としての登録が前提となります。書店流通を理解することは、小説を“売る本”として扱ってもらうための大切な準備の一つです。
3-2 取次会社の役割と出版流通の実情
書店流通の要となるのが「取次会社」です。代表的な取次会社には日本出版販売(日販)やトーハンなどがあり、出版社と書店の間を取り持つ卸業者のような存在です。取次は出版物を一括で仕入れ、全国の書店に分配する機能を担っています。
ISBNが付与された書籍はこのルートに乗ることで、スムーズに書店へ届きます。ただし、すべての書籍が必ず流通に乗るわけではなく、返品リスクや在庫管理の厳しさから、新人作家や個人出版の場合は審査が必要なこともあります。
小説を出版しても、取次との契約がなければ書店流通には乗らないという現実もあり、その点をしっかり把握しておく必要があります。
3-3 小説を流通に乗せるには何が必要?
小説を正式に出版し、書店流通に乗せるには、いくつかの条件をクリアする必要があります。まず、ISBNを取得して正規の出版物として登録されていること。次に、書籍情報が書店の発注システムに掲載されるよう「書誌登録」を行うこと。
そして取次会社との契約や委託販売の仕組みを整えることも重要です。特に自費出版の場合、取次と直接契約を結ぶのは難しいため、流通代行サービスや出版流通に強い自費出版会社を活用するのが現実的です。
納品体制の整備や返品対応など、商業レベルの対応力も求められるため、出版方法の選定段階から流通面を見越した準備が必要です。
4.納品とは?出版後の大切な手続き
小説を正式に出版した後、見落とされがちなのが「納品」の作業です。納品とは、完成した書籍を取次会社や書店、または関係機関に届けることを指し、出版流通の最終段階にあたる重要なプロセスです。
納品方法を理解していないと、せっかく出版しても流通に乗らず、読者の手に届かない可能性があります。ISBNを取得し、出版登録を終えた後も、この納品作業をしっかり行うことが小説の流通成功につながります。

4-1 書店・取次への「納品」とはどういう作業か
書店流通における「納品」とは、出版社や著者が、完成した本を取次会社や販売先に届ける一連の作業を指します。ISBNを取得し、出版登録が完了した後、実際の紙の書籍を物流ルートに乗せることで初めて書店での販売が始まります。
納品の方法は、取次会社との契約内容や販売形態によって異なります。たとえば、委託販売では返品を前提とした納品が求められ、納品書や指定ラベルの添付など厳密なルールがあります。
納品時に不備があると受け取ってもらえなかったり、流通が遅れたりすることもあるため、書店流通に強い自費出版会社や流通代行を活用するケースも増えています。出版後も気を抜かず、納品作業を丁寧に行うことが、小説を読者に届けるための重要なステップです。
4-2 国立国会図書館への「納本義務」について
日本で正式に出版された書籍は、国立国会図書館に納本する義務があります。これは「国立国会図書館法」に基づく制度で、日本国内で発行されたすべての出版物を収集・保存することを目的としています。
ISBNを取得して出版された小説も例外ではなく、納本の対象となります。納本方法は郵送で行うのが一般的で、発行後30日以内に1部または2部を提出する必要があります。納本には費用はかからず、提出すればその書籍は国の文化的記録として永続的に保管されます。
ただし、納本を怠ると行政指導の対象になることもあるため、正式に出版する場合は必ず手続きしましょう。納品と納本、この2つを正しく行うことで、小説は本当に「出版された書籍」として認められるのです。
5.出版スケジュールの立て方と注意点
小説を正式に出版するには、ISBN取得から印刷、納品、書店流通まで一連の工程があります。各段階には所要時間があり、余裕を持ったスケジュールを立てることが成功のカギです。無理のない出版スケジュールを組むことで、トラブルを防ぎ、スムーズに読者のもとへ本を届けることができます。
5-1 ISBN取得から納品までの大まかな流れ
出版スケジュールを考えるうえで、全体の流れを把握することは非常に重要です。まず、小説が完成したらISBNを取得し、書誌情報の登録を行います。
次に、装丁・デザイン・本文組版などの制作工程を経て印刷・製本へ進みます。製本が完了したら、書店流通に向けて取次会社や流通代行に納品し、販売準備が整います。これらの手順をすべて終えるまでには、通常1~2か月以上かかるのが一般的です。
特にISBNや書誌登録は事前準備に時間がかかることが多いため、逆算してスケジュールを組むことが大切です。本記事では、それぞれの工程で必要な作業内容と注意点も詳しく解説していきます。
5-2 各工程にかかる時間の目安
小説の出版準備にはさまざまな工程があり、それぞれに一定の時間がかかります。たとえばISBNの新規取得には申請から発行まで約1~2週間。書誌登録にも数日から1週間程度を見込んでおく必要があります。
装丁やレイアウトなどのデザイン作業は、外注する場合で2~4週間かかるのが一般的です。印刷・製本は部数や仕様によりますが、約10日~2週間程度が目安です。
その後、納品や流通の準備にも1週間以上を要することがあります。これらを踏まえると、出版全体のスケジュールは最低でも1.5か月、余裕をもたせて2~3か月を確保するのが理想です。
各工程を正確に見積もり、計画的に進めることで出版トラブルを未然に防ぐことができます。
5-3 トラブルを防ぐためのスケジュール管理
出版におけるスケジュール管理は、単に予定を立てるだけでなく、余裕を持たせることが重要です。ISBN申請が遅れる、印刷が混み合って納期に間に合わない、納品先から修正依頼が来るなど、想定外のトラブルは少なくありません。
そのため、各工程には“予備日”を設け、納期の1週間前にはすべての作業を完了させるつもりでスケジューリングすると安心です。また、外部に依頼する作業(デザイン、印刷、流通代行など)については早めに発注・確認を行いましょう。
出版方法によって必要な工程や流れも異なるため、あらかじめ全体像を把握しておくことが、小説出版成功のカギとなります。
6.出版方法によって変わる手続きと負担
小説を出版する方法には、商業出版・自費出版・電子書籍など複数の選択肢があります。それぞれの出版方法によって、ISBNの取得や納品、書店流通の可否など、必要な手続きや著者の負担は大きく異なります。
どの出版方法が自分に適しているかを見極めるには、それぞれの特徴と実務面の違いを理解しておくことが大切です。本章では各出版形態ごとの流れと、ISBNの扱いについて詳しく解説します。

6-1 商業出版の流れとISBNの扱い
商業出版とは、出版社が企画を採用し、出版費用を負担したうえで書籍を販売する形式です。この場合、ISBNの取得や書店流通、納品といった作業はすべて出版社側が行います。著者は執筆に専念できる反面、出版の可否は編集者の判断に委ねられるため、採用されるまでに高いハードルがあります。
ISBNは出版社名義で自動的に付与され、取次会社を通じて全国の書店に配本されるのが一般的です。商業出版は流通網が整っており、書店での展開やメディア露出の可能性もあるため、多くの読者に届くチャンスが広がります。
ただし、印税率や増刷の決定などは出版社側の裁量に依存するため、契約内容をしっかり確認することが重要です。
6-2 自費出版での実務と流通の難しさ
自費出版では、著者自身が費用を負担し、出版に関する手続きを行うか、外部の業者に委託する形になります。ISBNの取得も自分で行うか、代行会社に依頼することが一般的です。
さらに、書店流通に乗せるには、書誌登録や取次会社との契約、納品対応など多くの実務が伴います。とくに個人名義で取次と直接契約を結ぶのは難しく、書店への流通には限界がある場合もあります。そのため、自費出版の書籍はAmazonなどのオンライン書店での販売が主流になることが多いです。
小説を自費出版する場合、手間と費用のバランスを見極め、流通方法を事前に計画しておくことが成功へのカギとなります。
6-3 電子書籍にISBNは必要?
電子書籍の場合、必ずしもISBNを取得する必要はありません。
たとえばAmazon Kindle(KDP)や楽天Koboなどの電子書籍ストアでは、ISBNがなくても出版・販売が可能です。ただし、ISBNがあれば書籍情報の一元管理や複数プラットフォームでの流通がしやすくなり、書店・図書館との連携もしやすくなります。
特に、紙の本と電子版を両方展開したい場合や、ISBN付きで統一された書誌情報を管理したい場合は、電子書籍にもISBNを付けるのが望ましいでしょう。
なお、ISBNを付けた場合も、納品の必要は基本的に発生しませんが、出版物としての信頼性が向上するため、ブランドイメージや流通拡大を重視する方にはおすすめの方法です。
7.ISBN付きで出版するための具体的な方法
小説を正式に出版し、書店流通に乗せるためにはISBNの取得が不可欠です。ISBNを付ける方法には、大きく分けて「個人で取得する」か「出版社を通じて付与してもらう」2通りがあります。
それぞれの出版方法に合わせたISBN取得の流れや注意点、書店に並べるための戦略を押さえておくことが成功のカギです。
7-1 個人でISBNを取得するステップ
自費出版や個人出版をする場合、自分でISBNを取得することが可能です。日本国内では、「日本図書コード管理センター」に申請することで発行してもらえます。まず、発行者(=出版者)として登録し、初回登録料とISBNの購入費用を支払う必要があります。
登録には屋号(もしくは個人名)や住所などの情報が必要となり、発行者名義はそのまま書籍に記載されます。発行単位(1点/10点/100点)ごとに料金が異なるため、今後の出版計画に応じて選ぶとよいでしょう。
ISBN取得後は、書誌情報の登録を行い、印刷データや納品準備とあわせて進めるのが一般的です。小説を個人で出版したい方にとって、このステップは非常に重要です。
7-2 出版社に依頼してISBNを付ける場合
商業出版や一部の自費出版支援サービスでは、ISBNの取得を出版社が代行し、出版社名義で番号を付与するのが一般的です。この方法を選べば、自分で管理センターに申請する必要がなく、手間を大きく省くことができます。
また、出版社名義でのISBNは信用力が高く、書店や図書館などでも受け入れられやすいというメリットがあります。ただし、出版契約の内容によっては、著作権の取り扱いや書籍の販売ルートに制限がかかる場合があるため注意が必要です。
ISBNの取得だけでなく、納品・流通などの出版方法全体に関わるサービスをどう活用するかを、事前に確認することが成功のポイントとなります。
7-3 書店に並べたいときの出版戦略
ISBNを取得するだけでは、小説が書店に並ぶとは限りません。実際に書店流通に乗せるためには、取次会社との契約、書誌登録、販売計画、販促活動など、多角的な準備が必要です。
書店側が安心して仕入れられる体制(納品体制や返品対応など)を整えておくことも重要な要素です。個人でここまで対応するのは難しいため、書店流通に強い出版代行会社や流通サービスを活用するのが現実的な方法です。
さらに、書店への直接営業や地域密着型のイベント・販促活動なども効果的です。どのような出版方法を選ぶにせよ、「どうやって書店に届けるか」を意識した戦略を立てることで、小説が多くの読者に届くチャンスを最大化できます。
8.書店流通のメリットとリスク
小説を出版する際、「書店に並べる」ことを目指す人は多いでしょう。確かに、ISBNを取得し書店流通に乗せることで、多くの読者に作品を届けるチャンスが広がります。
しかしその一方で、書店販売には在庫管理や返品リスクなど、想像以上のコストと責任が伴います。本章では、書店流通の魅力と現実の両面を詳しく解説し、出版方法として検討すべきポイントを整理します。

8-1 書店に並ぶことの価値とは?
書店に小説が並ぶことには、大きな価値があります。まず、実店舗での陳列により、多くの読者の目に触れる機会が生まれ、偶然の出会いや“ジャケ買い”といった購買行動が期待できます。
また、書店に並ぶ本は「正式に出版された書籍」として認知されやすく、信頼性の高い作品と見なされる傾向があります。ISBNを取得して書店流通に乗せることで、販路が拡大するだけでなく、メディア掲載や書評に取り上げられる可能性も高まります。
特に紙の本を大切にする読者層にとって、書店で実物を手に取れる体験は非常に重要です。こうした“リアルな場”での接点を得られることは、デジタル販売だけでは得られない大きな強みです。
8-2 販売数・返品・在庫リスクの現実
書店流通には大きな可能性がある一方で、現実的なリスクも少なくありません。まず、書店への配本数が売上に直結するとは限らず、実際には多くの書籍が短期間で返品されることもあります。
出版業界では「委託販売」が主流であり、売れ残った本は取次会社を通じて返本されるため、在庫を抱えるリスクは出版側が負うことになります。また、納品・返品にかかる送料や手数料などのコストも積み重なるため、販売数が伸びない場合には赤字になる可能性もあります。
特に自費出版では、売上管理や在庫対応を自分で行うケースが多く、事前にリスクを理解しておくことが不可欠です。出版方法を選ぶ際には、書店流通の利点だけでなく、こうした運用面での現実にも目を向けましょう。
9.出版にかかる費用とその内訳
小説を正式に出版するには、想像以上に多くの費用がかかります。ISBNの取得費用をはじめ、印刷・製本代、納品手数料、書店流通に必要なコストなど、その内訳は多岐にわたります。
ここでは、それぞれの費用の目安と、出版方法によって異なるコストの違い、費用を抑えるための工夫について詳しく解説します。
9-1 ISBN取得や納品に必要な費用
まずはISBNの取得費用について見てみましょう。日本図書コード管理センターでの新規登録には、発行者登録料(約5,000円~)が必要で、ISBN自体は1点ごとに1,000円前後が相場です。複数冊分をまとめて購入することで、1冊あたりの単価を下げることも可能です。
続いて、納品にかかる費用としては、書店や取次会社への配送費や、納品代行を依頼する際の手数料(数千~数万円)がかかります。
さらに、納品時の書籍の梱包・ラベル貼付・納品書の作成なども必要になるため、外注する場合にはそれらの実務コストも加味しておきましょう。小説を自力で出版する際には、これらの実費をしっかり把握しておくことが大切です。
9-2 書店流通にかかるコスト例
書店流通に乗せる場合、取次会社との契約や流通代行サービスの利用が必要になります。大手取次を利用するには契約料が発生し、自費出版者が直接契約を結ぶのは難しいため、流通代行業者に委託するケースが一般的です。
代行費用は初期登録料で3万円~、書誌登録費・配本手数料などを含めると、総額で5万円~10万円以上になることもあります。さらに、書店への委託販売では「販売価格の30~50%」が取次・書店側の取り分となるため、実際の手元に残る利益は少なくなります。
これらの費用構成を理解せずに書店流通に乗せると、赤字になるリスクもあるため、事前にシミュレーションを行っておくことが重要です。
9-3 コストを抑えて出版するための工夫
出版コストを抑えつつ、小説を正式に出版したい場合は、いくつかの工夫が有効です。たとえば、ISBNを1点ではなく複数点まとめて取得することで、1冊あたりの単価を下げられます。
納品業務についても、信頼できる小規模の出版代行サービスを利用することで、無駄なコストを省けることがあります。また、書店流通にこだわらず、Amazonなどのオンライン書店中心に販売すれば、取次を介さずに済むため、流通関連の費用を大幅に削減できます。
出版方法を選ぶ際には、「どこで売るか」「どの読者層に届けたいか」を明確にしたうえで、無理のない予算で実行可能なプランを立てることが大切です。戦略的にコストを管理すれば、限られた資金でも効果的な出版が可能です。
10.小説出版を成功に導く準備とは
小説を正式に出版するためには、創作だけでなく、ISBNの取得、書店流通、納品といった多くの準備が必要です。出版方法によって求められる作業や費用も異なるため、自分に合った形を選び、目的に応じた計画を立てることが重要です。正しい知識と段取りをもって取り組めば、小説を読者に届ける出版はきっと実現できます。
10-1 出版の目的と準備の重要性
小説を出版する目的は人それぞれです。たくさんの読者に届けたい、書店に自分の本を並べたい、記念として形に残したい——どんな目的であっても、その実現には的確な準備が欠かせません。
ISBNを取得することで本としての信頼性が生まれ、納品や書店流通の仕組みを理解すれば、広く届ける可能性が広がります。出版には多くの工程と選択肢がありますが、大切なのは「なぜ出版するのか」という自分自身の目的に立ち返ることです。
その目的に合った出版方法を選び、必要な準備を一つひとつ進めていくことで、後悔のない出版が実現します。本記事で紹介した方法や注意点を参考に、確実なステップを踏んでいきましょう。
10-2 読者に届けるための出版を目指そう
出版は、ただ本を作るだけではありません。大切なのは「読者に届けること」です。そのためには、ISBNの取得、書店流通への対応、適切な納品など、読者の手に届くルートを確保する必要があります。
とくに書店流通を目指す場合、事前の計画と準備不足が大きな障害となるため、段取りを明確にし、実行力のある出版戦略を立てましょう。また、読者目線で装丁や販売方法を考えることで、作品への共感や信頼が生まれ、リピーターの獲得にもつながります。
小説という物語を、届けたい人のもとへ届ける——その思いを叶えるためにも、出版の手続きは単なる作業ではなく、“読者との出会い”を作る大切な準備と考えて取り組みましょう。
まとめ:小説出版に必要な準備-基本的な出版方法
小説を正式に出版するためには、ただ原稿を書くだけではなく、ISBNの取得、書店流通への対応、そして納品手続きといった具体的な準備作業が必要です。出版方法には商業出版・自費出版・電子書籍などの選択肢があり、それぞれで手続きや費用、作業の負担が大きく異なります。
特に自費出版の場合は、ISBNを自分で取得したり、納品・流通に関する手配を行ったりと、著者が担う役割が多くなります。
また、書店に小説を並べるには、ISBNを取得するだけでなく、取次会社との契約や納品ルールの理解、返品リスクへの備えなど、出版流通の仕組み全体を見通した準備が欠かせません。こうした手続きを正しく進めるためにも、出版目的を明確にし、自分に合った方法を選ぶことが重要です。
この記事では、小説出版に必要なステップを丁寧に解説しました。ISBN・納品・書店流通の基本から、出版方法別の手続き、コスト、戦略までを一通り理解しておくことで、出版に関する不安や疑問を解消し、自信を持って作品を世に送り出せるようになります。読者に届く出版を実現するために、ぜひ本記事を出版準備の参考にしてください。
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