小説を持続して執筆するためのモチベーションアップ術

「書きたい気持ちはあるのに、続かない」
「途中までは順調だったのに、手が止まってしまった」
「モチベーションが維持できず、放置したままの小説がある」

小説を書き続けるのは、思った以上に根気がいる作業です。プロでもスランプに悩むことはありますし、特に執筆初心者や兼業作家にとっては「継続」が最大の壁になることも少なくありません。

本記事では、小説執筆を途中で投げ出さず、楽しみながら書き続けるためのモチベーションアップ術を紹介します。日々の習慣化、目標設定、人とのつながり、気分転換のコツなど、実践しやすい具体策を網羅。自分らしいペースで、物語を最後まで書き上げる力を身につけましょう。

1.なぜ筆が止まるのか?小説家のスランプ原因を探る

小説を書き始めたときは意欲にあふれていたのに、途中で筆が止まってしまう──そんな経験は、多くの小説家や書き手が一度は通る道です。

執筆を持続させるためには、なぜやる気が落ちてしまうのか、その原因を知ることが第一歩。モチベーションが下がる典型的なパターンを見ていきましょう。

1-1 やる気が出ないときに起こっていること

「書かなきゃ」と思っているのに、なぜか手が動かない。そんなとき、頭の中では「書く気がない自分」への罪悪感や焦りが渦巻いています。

実はこの状態、脳が“ストレス状態”にあることが多く、無意識に執筆から自分を遠ざけてしまっているのです。特に、小説執筆を義務のように感じてしまうと、創作そのものがプレッシャーに変わり、やる気を削いでしまいます。

まずは「やる気が出ないのはダメなことじゃない」と認識し直し、心と脳をリセットすることが大切です。執筆に戻るためには、気負わずに小さな一歩を踏み出せる工夫が必要です。

1-2 「完璧主義」が創作意欲を奪うワケ

小説を真剣に書こうとするほど、「ちゃんとしたものを書きたい」「読者に伝わる表現にしたい」といった意識が強くなります。しかし、その意識が過剰になると“完璧主義”に陥り、逆に手が止まってしまうのです。

完璧を目指すあまり、1行1行に時間をかけすぎたり、「この展開で本当に大丈夫か?」と先に進めなくなったりすることはありませんか? 実際、多くの書き手が「完成しない原因は、自分でハードルを上げすぎていた」と気づく瞬間を経験しています。

まずは「未完成でOK」「粗削りでも前に進める」ことを許可しましょう。創作は“あとから磨けるもの”。書き続けることが、結果的に作品の完成度を高めてくれるのです。

2.最初の5分で書ける脳をつくる

小説を書きたいのに、最初の一文字がなかなか出てこない。そんな「書き始めの壁」は、多くの書き手が感じている共通の悩みです。しかし、執筆は「やる気が出てから始めるもの」ではなく、「書き始めることでやる気が出てくるもの」。この逆転の発想が継続的な執筆を実現するカギです。

本章では、最初の5分を突破するための具体的な習慣化メソッドを紹介します。小説を続けるための“書ける脳”をつくるヒントをお届けします。

2-1 「とにかく座る」ことの驚くべき効果

小説を書く習慣を身につけるための第一歩は「とにかく座る」ことです。やる気が湧いてくるのを待っていると、結局、何も書かずに1日が終わってしまいます。実は、脳は行動によってスイッチが入る仕組みになっており、まず行動することで思考や意欲が後からついてくるのです。

たとえば、決まった場所に座ってパソコンを開く、執筆用のノートを開く、それだけでもOK。「5分だけ書く」と決めれば心理的ハードルも下がります。1行でも書ければ前進。行動が習慣化されると、やがて“座れば書ける”という脳の状態が定着し、自然と執筆が続くようになります。

2-2 短時間でも集中できる環境づくり

小説執筆を持続させるには、集中しやすい環境を整えることが不可欠です。スマホの通知や家事、SNSの誘惑など、現代の生活は注意をそらす要因であふれています。そんな中でも短時間で集中するには、“書くことに集中できる空間”を意図的に作る必要があります。

たとえば、書くときは必ず机に向かう、特定の音楽を流す、香りを取り入れるなど、五感を使った習慣づけが効果的です。

また、スマホを別の部屋に置いたり、執筆アプリをフルスクリーンにして視覚情報を絞るのも有効です。自分だけの“執筆モード”を作ることが、小説を続ける土台になります。

2-3 タイマー式執筆法で習慣化する

集中力の持続が難しいときにおすすめなのが「タイマー式執筆法」です。これは、時間を区切って書くことで心理的負担を減らし、集中力を一時的に最大化させる方法です。ポモドーロ・テクニックなどが有名ですが、小説執筆にも十分応用可能です。

たとえば「25分間だけ集中して執筆し、その後5分休憩する」というサイクルを1セットにし、無理のない範囲で繰り返していきます。

この方法は、「長時間やらなければ」というプレッシャーから解放され、結果として執筆を続けやすくなります。タイマーを使った短期集中は、小説を書く日常的なリズムを整えるための有効なツールです。

3.続ける人がやっている目標設定の工夫

小説を継続して書くには「目標設定の仕方」が大きく影響します。ただ「毎日◯文字書く」と決めるだけでは、うまくいかないことも多いのが現実です。大切なのは、自分の生活リズムや性格に合った“無理のない目標”を立てることです。

そして、モチベーションを保つための「見える化」や「共有」も鍵になります。本章では、小説を持続して執筆する人たちが実践している、シンプルだけど効果的な目標設定の工夫をご紹介します。

3-1 数字に縛られないマイルールの作り方

「毎日2,000文字書く」といった数値目標は、一見わかりやすくて達成感も得やすいですが、日々の生活や気分によって波がある小説執筆では、かえってプレッシャーになることがあります。

数字に縛られてしまうと、「今日は書けなかった…」という自己否定につながり、モチベーションが大きく下がる原因にもなります。そこでおすすめなのが、自分だけの“マイルール”を作ることです。

たとえば、「毎日パソコンを開いて1行だけでも書く」「小説のことを10分間考える」など、小さくて達成しやすい行動を基準にするのです。数値よりも“行動”に目を向けた目標設定が、長く小説を書き続けるための鍵となります。

3-2 毎日の執筆ログでモチベーションを可視化

書いた文字数や時間を記録する“執筆ログ”は、モチベーションを維持するための非常に強力なツールです。どれだけ進んだかを可視化することで、「自分は前に進んでいる」という実感が得られ、自然とやる気が湧いてきます。

記録方法はシンプルでOK。ノートに日付と文字数を書く、アプリにログをつける、日記形式で気分も一緒に書いておくなど、続けやすい形を選びましょう。グラフ化やチェックリストなどを使えば、視覚的な達成感も得られます。

執筆ログは、自分だけの「進捗の見える化」。小説を書き続ける上で、自信と達成感を育てる大切な習慣になります。

3-3 創作仲間と「成果を見せ合う」メリット

一人でコツコツ書き続けるのは、想像以上に孤独な作業です。そんなときに力になるのが、同じ目標を持った創作仲間の存在です。互いに成果を見せ合うことは、適度な刺激となり、やる気を引き出してくれる“外部モチベーション”になります。

SNSで「今日は1,000字書けた」と報告する、創作グループで進捗を共有する、定期的に感想を送り合う――こうした活動は、自分がサボらないための“見えない支え”になります。

また、人の作品に触れることで新たな気づきや発想も得られ、小説の質そのものも高まります。孤独を共有に変えることが、小説執筆を持続させる秘訣です。

4.「書きたい気分」になる仕掛けを作る

小説を継続して執筆するには、「気分が乗るタイミングを待つ」のではなく、「気分が乗る状態を意図的に作る」ことが大切です。毎回やる気を出すのではなく、自然と書き始めたくなる“仕掛け”を日常の中に取り入れることで、モチベーションの波に左右されずに執筆を習慣化できます。

本章では、書きたい気分を呼び起こすためのルーティンづくりと、自分を動かす“ご褒美設定”の活用法について具体的に解説します。

4-1 お気に入りルーティンで脳を準備モードに

小説執筆のスイッチを入れるには、毎回決まったルーティンを取り入れるのが効果的です。たとえば、お気に入りの飲み物を用意して机に座る、執筆用のプレイリストを流す、特定の文具を使う――こうした“いつもの手順”が、脳に「これから小説を書く時間だ」と知らせるサインになります。

脳は繰り返しによって“条件づけ”される性質があり、習慣化されたルーティンは集中力を高める助けになります。また、同じ環境・同じ順序で始めることで迷いが減り、すぐに執筆モードに入れるようになります。

自分だけの執筆準備ルーティンを作ることで、「書きたい」という気分を自然に引き出すことができるのです。

4-2 やる気が出る“ご褒美リスト”の活用法

小説執筆を続けるためには、行動のあとに小さな“報酬”を用意することも非常に有効です。人は、行動の先に楽しみがあると分かっていると、自然とやる気が出やすくなるもの。これを活かして、「書いたら○○していい」という“ご褒美ルール”をあらかじめ決めておきましょう。

たとえば「30分書いたらコーヒーブレイク」「1,000字書いたらお気に入りの動画を見る」など、簡単で達成感のあるものがおすすめです。重要なのは、“やる気が出たから書く”のではなく、“書いたから気分よく楽しめる”という流れを作ること。

自分にとっての小さなご褒美を設定しておくことで、モチベーションは驚くほど持続しやすくなります。

5.スランプ時に効く“原点回帰”の技術

書く手が止まったときこそ、自分がなぜ小説を書き始めたのかを思い出してみましょう。創作の原点に立ち返ることで、初心の熱や楽しさを再び呼び起こすことができます。

本章では、スランプ時に効く“原点回帰”の具体的なアプローチをご紹介します。

5-1 なぜ書き始めたのかを思い出す時間

スランプに陥ると「自分には才能がないのでは」「この物語はもう書けない」と不安になるものです。そんなときこそ、最初に「なぜこの小説を書こうと思ったのか?」を振り返る時間を持ってみてください。

書き始めた動機や、最初に浮かんだシーン、キャラクターへの愛着など、創作の源泉には必ず情熱があります。初心のメモや当時の日記、構想ノートを見返すのも効果的です。最初の「書きたい」という感情を思い出すことで、執筆の楽しさが自然と蘇ってきます。

モチベーションは“感情の記憶”から再生できます。原点に戻ることで、小説と自分との関係が再び動き出すのです。

5-2 「読み返し」で自分の物語に恋をする

自分の書いた小説を読み返すことには、大きな価値があります。特にスランプ時には、自分が生み出した物語やキャラクターを“読者の目線”で見つめ直すことで、忘れていた愛着や熱意を取り戻すことができます。

「こんなセリフ書いてたんだ」「この場面、やっぱり好きだな」――そんな再発見は、あなたの中に再び火を灯してくれます。完璧じゃなくてもいい、荒削りでもいい。「この物語には価値がある」と感じることが、次の一文を書く力になります。

小説に恋をする感覚を取り戻せば、筆はまた動き出します。スランプを脱する最良の方法は、自分の物語の魅力に再び気づくことなのです。

5-3 好きなキャラだけ登場させてみる

気が乗らないときは、無理にプロット通りに進めようとせず、「好きなキャラクターだけを登場させて自由に書く」という方法もおすすめです。ストーリーを一時的に脇に置いても、キャラクターへの愛情や会話のやりとりを書いているだけで、創作の楽しさが戻ってくることがあります。

お気に入りのキャラに語らせるモノローグ、日常のワンシーン、番外編など、なんでも構いません。自由度を上げて筆を動かすことで、“書く感覚”を取り戻せます。

キャラクターは、書き手にとって一番近い創作のモチベーションです。彼らとの会話が、あなたを物語の世界に引き戻してくれるはずです。

6.モチベーションは人との関わりで強くなる

小説執筆は孤独な作業と思われがちですが、実は“誰かとつながること”が継続の大きな支えになります。同じ目標を持つ仲間や、読んでくれる誰かの存在が、やる気や喜びを生み出す原動力になるのです。

創作活動を習慣化させたいなら、孤独を抜け出し、交流やフィードバックのある環境をつくることが効果的。本章では、モチベーションを保つために役立つ「人との関わり方」について、実践的なヒントを紹介します。

6-1 創作仲間との交流が続ける力になる

小説を書き続けている人の多くが実感しているのが、「一人では続けられなかったけど、仲間がいたから続けられた」ということです。創作仲間との交流は、モチベーションの維持にとても効果があります。誰かが頑張っている姿を見ると、自分も「書こう」と思えるのが人間の自然な心理です。

SNS上の創作コミュニティや、X(旧Twitter)、Discordなどの交流グループでは「今日1,000字書けた!」「このシーンに悩んでる」など、気軽な共有ができます。同じ目線の仲間と気持ちを分かち合うことで、創作への熱が再燃することも少なくありません。

継続力は“環境”に依存します。仲間の存在が、小説を書く力を静かに後押ししてくれるのです。

6-2 フィードバックが生む「やる気の火種」

自分の小説に対する感想やフィードバックを受け取ることは、モチベーションを大きく高める“火種”になります。「面白かった」「キャラが好き」といった一言でも、書き手にとっては大きな励ましとなり、次の一文を書くエネルギーになります。

小説投稿サイトやSNS、創作仲間からの感想は、作品の価値を他者視点で再確認できる貴重な機会です。自分では気づかなかった魅力や強みに出会えることもあります。もちろん、批判的な意見も成長の材料と捉えれば、創作の質を高めるきっかけになります。

誰かに読まれている実感は、創作を「ひとりごと」から「対話」へと変えてくれます。その変化が、持続的なやる気を生み出すのです。

7.プロットに詰まったときの突破術

小説を書いていると、プロットや展開で手が止まってしまう瞬間は誰にでも訪れます。そんなときは、悩みすぎず“動かすこと”が突破の鍵になります。

本章では、物語が進まないときに試したい柔軟なアプローチや視点の変え方を紹介します。詰まりを乗り越えて再び筆を進めるための実践テクニックです。

7-1 場面を飛ばして書く“逆流テクニック”

「次の展開が思いつかない」「このシーンがうまく書けない」と悩んだときに有効なのが、“逆流テクニック”です。これは、今書いている場面を一旦飛ばして、書きやすい場面や思い浮かんでいる先のシーンから書く方法です。

小説は必ずしも頭から順番に書く必要はありません。むしろ、書きたい場面だけを先に書いておくことで、物語全体の流れが見えてくることもあります。その後で間のシーンを補完すれば、構成の自然さやリズムも整いやすくなります。

手が止まっている箇所に固執せず、“今書けるところ”から書く。これが、執筆の停滞を打破する柔軟な技術です。

7-2 「とにかく動かす」ことで見える展開

物語の展開に迷ったときは、細かく考え込むよりも、まずキャラクターを“とにかく動かす”ことが効果的です。登場人物に行動させ、会話させ、状況を変えてみることで、思わぬ方向にストーリーが進展することがあります。

たとえば、キャラが部屋を出る、誰かに会う、感情的な一言を発する――それだけでも物語に新たな推進力が生まれます。頭の中で物語を止めてしまうより、少しでも動かすことで、展開の糸口が見えてくるのです。

執筆中の“迷い”は、静止よりも変化で乗り越える。キャラクターを動かせば、あなた自身も物語に引き戻されていきます。

7-3 書けない日は“考える日”にしてもいい

「今日はまったく書けない…」そんな日もあります。そんなときに無理に書こうとすると、かえって創作が苦痛になってしまうことも。だからこそ、“書かないけど考える日”を意識的に設けるのも、立派な創作活動の一部です。

キャラの背景を妄想したり、物語の裏設定をノートに書き出してみたり、好きなシーンを頭の中で何度も再生してみたり。こうした時間は、表には見えなくても確実に物語を育てる“水やり”になります。

小説は「書くこと」だけで成り立っているわけではありません。書けない日は、自分の内側で物語を育てる大切なプロセスだと受け入れましょう。

8.疲れても書きたい自分でいるために

小説を書き続けたい気持ちはあっても、日常の忙しさや心身の疲労で筆が進まない日もあります。そんなときは、自分を責めるのではなく“書けない自分”とうまく付き合う視点が大切です。

創作にはインプットと休息も欠かせない要素。本章では、疲れていても「また書きたくなる自分」でいられるための考え方や、日常の中に創作の種を見つけるコツをご紹介します。

8-1 「書かない勇気」も大事な選択肢

小説を継続して書きたいと思うほど、書けない自分に罪悪感を抱きがちです。しかし、疲れているときに無理に筆を進めようとすると、創作そのものが苦痛になり、モチベーションの低下を加速させてしまうことがあります。

そんなときは、あえて“書かない”という選択をする勇気も必要です。しっかり休むことで心が整い、翌日には驚くほどスムーズに筆が進むこともあります。創作には「緩急」があるのが自然で、常に全力で書き続ける必要はありません。

“休むこと=創作をやめること”ではなく、また書くための“準備期間”と捉えましょう。自分を追い詰めず、長く小説を書き続けるための土台を整える意識が大切です。

8-2 創作の充電になるインプットの工夫

良い小説を書くには、良いインプットが必要です。読書、映画、音楽、散歩、人との会話など、創作に役立つ刺激は日常にあふれています。疲れて執筆ができない日は、自分の“創作エネルギー”を充電する絶好のタイミングでもあります。

たとえば、ジャンルの違う作品に触れる、ノンフィクションを読む、舞台や美術展に行ってみる――新しい視点や感情に出会うことが、物語に深みを与えてくれます。感動した言葉や場面をメモしておくのもおすすめです。

「何もしない日」ではなく「感じる日」として、インプットの時間を積極的に取り入れることで、再び書きたくなる衝動が生まれます。

8-3 日常を小説のヒントに変えるコツ

創作は、非日常だけを描くものではありません。むしろ、日常の中にある何気ない出来事こそ、小説のアイデアの宝庫です。目にした風景、電車で聞こえた会話、コンビニで見かけた人の仕草――それらを“観察する目”で捉えると、物語のヒントが自然と浮かんできます。

たとえば、気になる言葉や出来事をスマホやノートにメモする習慣をつけるだけでも、小さな発見が後の創作に活きてきます。「これは使えるかも」という視点で日常を眺めることで、創作のアンテナが敏感になり、アイデアの枯渇を防げます。

日常は、常に小説の素材で満ちています。それに気づく力が、“また書きたくなる自分”をつくるのです。

9.長く続ける人の生活と創作のバランス術

小説を継続的に執筆している人は「生活の中に創作をどう組み込むか」に工夫を凝らしています。毎日忙しい中でも、無理なく書き続けるには、自分に合ったペースとバランス感覚が不可欠です。本章では、創作と日常を両立させるための実践的な方法をご紹介します。

9-1 無理しないペース配分の考え方

小説執筆を長く続けるために大切なのは、「自分にとって現実的なペース」を見極めることです。やる気のある日に一気に書くのも悪くはありませんが、毎回フルスロットルでは疲れてしまい、モチベーションが持続しません。

理想的なのは、1週間単位や月単位で「このくらい書けたらOK」と余裕を持った目標を立てることです。忙しい日や疲れた日があっても、トータルで帳尻が合えば問題ありません。

また、ペースは季節や生活状況によって変化して当然です。無理に毎日同じ量を書くよりも、柔軟なリズムを意識することで、心身への負担を減らし、執筆が長続きします。

9-2 “日常の中の創作時間”を固定する

小説を習慣化するコツのひとつは、「書く時間を生活に組み込む」ことです。たとえば、朝のコーヒーを飲んだ後の15分、昼休みの10分、就寝前の30分など、毎日決まったタイミングで執筆する習慣をつくると、自然と筆が進みやすくなります。

「まとまった時間が取れないと書けない」と思いがちですが、実は短時間でも積み重ねれば1週間後にはしっかり成果になります。大事なのは“毎日少しずつでも書く”というリズムです。

また、生活習慣とセットにすることで「書くこと=日常の一部」になり、モチベーションに頼らず執筆を続ける土台ができます。日常の流れに創作を溶け込ませることで、書き続ける力が自然と養われていきます。

10.物語を完結させる力を育てる

小説を「書き始める」こと以上に難しいのが、「書き終える」ことです。完結は、書き手にとって大きな達成であり、次の作品への自信にもつながります。物語を最後まで書き切るには、技術と意識の両面が必要です。

本章では、小説を完結させるための実践的な考え方と、書き終えた後の心の整え方について解説します。

10-1 「終わらせ方」も技術である

小説の“終わり方”に迷って筆が止まってしまうケースは意外と多くあります。「物語をどう締めくくるべきか」「読者を満足させられるラストとは?」と悩むのは当然ですが、終わらせること自体にも技術と慣れが必要です。

まず意識したいのは、「完璧なエンディング」でなくてもよいということ。ラストシーンを決めきれないなら、仮の終わりでも書き切ってみることが大切です。一度“全体を完結させる”体験をすることで、作品の構造や自分の執筆スタイルが見えてきます。

終わらせることを怖がらず、「とにかく一度書き切る」経験を積むことが、創作力を飛躍的に高めてくれます。

10-2 完結の達成感を次作へのエネルギーに

物語を最後まで書き終えたときの達成感は、他に代えがたいものです。その達成体験をしっかり味わうことで、「また書こう」という意欲が自然と生まれてきます。完結は終わりではなく、次の創作への“再出発点”なのです。

完結後には、あえて少し時間をおいて読み返してみましょう。「ここは頑張ったな」「このシーンは気に入ってる」など、自分の成長を確認する時間になります。また、その作品を読んだ人の反応を受け取ることで、新しい物語の種が生まれることもあります。

小説を完結させたあなたには、すでに次を書く力が備わっています。達成感をしっかりと燃料に変えて、新たな創作へとつなげていきましょう。

10-3 自分をねぎらう儀式を持つ

作品を書き終えたら、自分自身をしっかり“ねぎらう”ことが大切です。完結は決して当たり前のことではなく、粘り強く物語を生み出し続けた自分に対する最大の称賛に値します。

たとえば、好きなものを食べに行く、特別なコーヒーを飲む、SNSで「書き終えました」と宣言するなど、どんな形でも構いません。重要なのは、「やり遂げた」という体験を自分の中でしっかり肯定することです。

ねぎらいの儀式は、自分の創作活動にリズムとメリハリを与えてくれます。そしてその肯定感が、次の執筆への原動力になります。あなたがまた物語を書きたくなる日が、きっとすぐにやってきます。

まとめ:小説を「続ける」ための工夫が、あなたの物語を完結へ導く

小説を書き続けることは、思っている以上にエネルギーのいる作業です。最初は情熱を持って始めても、途中でスランプに陥ったり、生活との両立に悩んだり、モチベーションが続かなくなることは誰にでも起こりえます。しかし、小説執筆を“習慣”として定着させることで、その壁を乗り越えることは可能です。

本記事では、最初の一歩を軽やかに踏み出す方法から、疲れたときの心のケア、仲間とのつながり、そして完結まで書き切るための実践的なテクニックまで、10章にわたって紹介しました。

大切なのは、「やる気があるときだけ書く」のではなく、「やる気がなくても書ける仕組み」を作ること。自分に合ったペース配分やルーティン、ご褒美、交流、インプットの工夫を取り入れることで、無理なく小説を書き続けることができます。

小説を継続して執筆したい、モチベーションを維持したいと悩んでいる方は、ぜひ本記事で紹介した方法を試してみてください。小さな習慣の積み重ねが、やがて大きな物語の完結へとつながります。

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