「印税ってどう決まるの?」
「契約書にサインして本当に大丈夫?」
「著作権って勝手に使われたりしない?」
小説を出版する際、多くの人がぶつかるのが“出版契約”の壁です。契約内容をよく理解せずに進めてしまうと、印税の条件で損をしたり、著作権トラブルに巻き込まれたりするリスクも。特に初めての出版では、契約書のどこに注意すべきか分かりにくいものです。

本記事では、小説出版をめざす方が押さえるべき「契約上の重要ポイント」「印税の仕組み」「著作権に関する注意事項」などを、実例を交えてわかりやすく解説します。安心して本を世に出すための“知識の備え”を、ぜひこの機会に身につけてください。
1.出版契約とは何か?基本から理解しよう
小説を正式に出版するには、出版社との間で「出版契約」を結ぶ必要があります。これは印税や著作権の取り扱い、トラブル防止のための重要なステップです。
契約の基本を理解することは、出版後に後悔しないための第一歩。この記事では、出版契約の目的や注意点を初心者にもわかりやすく解説していきます。
1-1 出版契約の目的と役割
出版契約とは、著者と出版社が書籍の出版に関して取り決めを交わす法的な契約です。目的は、出版の条件や範囲を明確にし、双方の権利と義務を明文化することにあります。
たとえば「著作権の扱い」や「印税の支払い条件」「出版部数」など、トラブルになりやすい点を事前にルール化することで、後の紛争を防ぐ役割を果たします。
特に小説のように創作物としての価値が高いジャンルでは、権利関係が複雑になることもあり、曖昧な契約内容は大きな損失を生むこともあります。出版契約の役割を理解することは、著者としての責任を果たす上でも欠かせません。
1-2 契約が必要になるタイミングと背景
出版契約は、出版社から小説の出版を正式に提案されたタイミングで交わすのが一般的です。書籍の企画が採用された後、印税の取り決めや著作権の扱い、出版スケジュールなど具体的な内容が話し合われ、それらを文書で明文化することで契約が成立します。
また、最近では電子書籍や共同出版といった多様な出版形態が増えており、それぞれに応じた契約内容が求められる時代です。
契約が不要だと誤解して進めてしまうと、印税が支払われない・内容が無断で変更されるといった「著作権トラブル」に発展することもあります。自分の作品を守るためにも、契約が必要となる場面や背景を事前に理解しておきましょう。
2.契約書に必ず記載される主な項目
小説の出版契約書には、印税の支払条件、著作権の帰属、契約期間など、著者と出版社双方に関わる重要な情報が記載されます。
こうした項目は契約時に特に注意が必要な部分であり、後のトラブルを防ぐためにも、しっかりと内容を把握しておくことが欠かせません。契約書の基本構成とそれぞれの意味を詳しく解説します。

2-1 印税・著作権・契約期間など基本条項
出版契約における代表的な基本条項には、「印税率」「印税の支払方法」「著作権の取り扱い」「契約期間とその更新条件」などがあります。小説では、紙の書籍か電子書籍かによって印税率が異なるため、形式ごとにきちんと確認することが重要です。
また、著作権の帰属についても要注意で、著者に残る場合と出版社へ移譲する場合で、二次利用や映像化の交渉に大きな影響があります。
契約期間も見落とされがちなポイントで、自動更新条項などがあると予期せぬ延長が発生することも。これらの項目は、出版契約書に必ず記載されており、トラブル防止の鍵となります。
2-2 契約条項ごとのリスクと判断ポイント
出版契約の条項には、一見すると問題なさそうに見えても、実は著者側に不利な内容が含まれていることがあります。
たとえば「印税の支払い基準」が実売数なのか発行部数なのかによって、収入に大きな差が出ます。また、著作権トラブルに直結しやすいのが、二次利用や翻訳・映像化の権利を出版社に包括的に与える条項です。契約期間が不明瞭だったり、途中解約の条件が曖昧な場合も要注意。これらはすべて、著者がきちんと読み解き判断すべき重要ポイントです。
契約書に書かれた内容は後で覆すことが難しいため、一つひとつの条項に対するリスクを事前に理解し、必要に応じて交渉を行うことが、自分の権利を守るための第一歩になります。
2-3 あいまいな表現の読み解き方
出版契約書には、法律的に解釈が分かれるような曖昧な表現が使われていることがあります。たとえば「出版社の判断により必要な変更を行うことができる」といった文言は、編集権の範囲を広くとらえる一方で、著者の意向が反映されにくくなるリスクを含んでいます。
また、「契約期間終了後も一定期間、販売を継続できる」などの表現は、事実上の無期限契約に近いケースも。こうした曖昧な記述は「著作権 トラブル」の火種となる可能性があるため、読み飛ばさず丁寧に確認する必要があります。
不明点があれば、その場で出版社に確認し、できれば書面にしておくことが大切です。契約書は単なる形式ではなく、トラブルを防ぐための重要な法的文書であることを忘れてはいけません。
3.印税の仕組みと小説の場合の注意点
出版契約で多くの人が気にするのが「印税」の条件です。印税率や支払いの仕組みは契約によって異なり、内容をよく知らないまま契約すると後悔することもあります。小説出版を考えているなら、印税の基本を理解しておくことが大切です。
3-1 小説出版における印税相場と支払い形式
小説を出版した際に得られる印税は、契約形態や著者の立場によって大きく異なります。一般的な相場として、紙の書籍では定価の8~10%、電子書籍では20~30%とされますが、これはあくまで目安です。
実績のある作家には優遇条件が提示されることもありますし、駆け出しの著者には低めの印税率が設定されることもあります。支払い形式にも違いがあり、売上に応じて定期的に振り込まれる場合もあれば、初回一括で支払われるケースもあります。
重要なのは、契約前に「いくら、いつ、どう支払われるか」が明記されているかどうかです。金額だけでなく、支払いの仕組みにも目を向ける必要があります。
3-2 電子書籍と紙書籍で異なる印税率
印税率は出版形態によって大きく変わります。紙書籍の場合は、印刷・流通・保管といった物理的コストがかかるため、印税は定価の8~10%が標準です。一方、電子書籍は物理的なコストが少ない分、20~30%と高めの印税が設定されることがあります。
ただし、販売価格が低く設定されることも多く、印税率が高くても収入が多くなるとは限りません。また、出版社を通さずに電子書籍を出す場合は、プラットフォーム手数料を差し引いた後の収益が印税に相当します。
紙と電子、それぞれの特徴と収益モデルを理解したうえで、納得できる契約条件を選ぶことが大切です。
3-3 実売印税と発行部数印税の違い
印税の算出方法として「実売印税」と「発行部数印税」の2種類があります。実売印税は、実際に販売された冊数に応じて印税が支払われる方式で、売れた分だけ収入が入るため合理的です。一方、発行部数印税は、印刷された冊数に対して印税を計算します。
初版時にまとまった額を受け取れるメリットがありますが、売れ残った場合の返品リスクや、返金を求められる契約になっていることもあります。
出版契約書には、どちらの方式かが明記されているので見落とさずにチェックしましょう。特に初めて契約する場合は、リスクと見返りのバランスを慎重に判断することが重要です。
4.著作権をめぐる契約上の落とし穴
小説を出版する際、著作権の扱いには特に注意が必要です。契約内容によっては、自分の作品であるにもかかわらず、再利用や映像化ができなくなるケースもあります。
著作権は創作物の根幹に関わる重要な権利であり、トラブルの原因にもなりやすい項目です。出版契約時には、その帰属先や範囲をしっかり確認し、曖昧なまま契約しないことが大切です。

4-1 著作権の帰属先とその重要性
小説の著作権は、基本的に著者に帰属します。ただし、出版契約の内容によっては、著作権の一部、あるいは全部を出版社に譲渡する形になる場合もあります。
たとえば「出版に関する一切の権利を出版社に許諾する」といった文言が入っていると、再出版・電子書籍化・翻訳などを著者が自由に行えなくなる可能性があります。著作権は創作物に対する最も基本的な権利であり、その帰属先によって今後の活動が大きく制限されることもあります。
出版契約の注意点として、著作権の範囲・帰属先・使用条件などは必ず明文化されているかを確認し、不明確な場合は交渉や修正を求める姿勢が必要です。
4-2 二次利用や映像化の権利は誰のもの?
小説がヒットした場合、二次利用のチャンスが広がります。たとえば、漫画化・映画化・舞台化などの展開です。
しかし出版契約の内容によっては、これらの「二次利用権」や「映像化権」を出版社に包括的に譲渡してしまっていることがあります。こうなると、著者が別の出版社や制作会社と交渉できなくなり、収益やコントロールを失う原因になります。
契約書には「二次利用に関する権利は別途協議とする」「映像化権は著者に残す」など、具体的な記載があるかどうかが重要です。
著作権 トラブルの多くは、こうした権利の取り扱いに関する曖昧な契約から生じています。長期的な展開を視野に入れ、将来の可能性を奪わない契約を心がけましょう。
4-3 著作権関連トラブルの実例と対策
出版後に最も多いトラブルの一つが、著作権に関する誤解や対立です。たとえば、著者が別媒体で自作の内容を発表したところ、出版社側から「契約違反」と指摘され、販売中止や損害賠償を求められるケースがあります。
また、出版社が著者に無断で作品を電子書籍化したり、改変したバージョンを出版したりする事例も見られます。これらのトラブルの多くは、契約時に著作権の扱いを明確にしていなかったことが原因です。
対策としては、契約書の条文を細かく読み、必要であれば専門家(弁護士や出版コンサル)に相談すること。自分の権利を守るためには、「信頼関係」だけに頼らず、文書で確認する意識が欠かせません。
5.契約期間・更新・解除条件の確認
出版契約には、契約期間や更新の条件、途中で契約を解除する際のルールなども明記されています。これらを曖昧なままにしてしまうと、著作権や印税の扱いをめぐってトラブルが生じることがあります。安心して出版活動を続けるためにも、契約期間に関する条項はしっかり確認しておきましょう。
5-1 契約期間の設定と終了後の取り扱い
出版契約には「いつからいつまで契約が有効なのか」を示す契約期間が必ず設定されます。たとえば「初版発行から5年間」や「契約締結日から2年間」など、明確な期間が定められていることが望ましいです。
また、契約終了後に著作権がどう扱われるのか、出版済みの書籍は引き続き流通するのかといった点も重要です。なかには「契約期間終了後も在庫がある限り販売継続可能」といった文言が含まれていることもあり、細心の注意が必要です。
こうした条項が曖昧だと、著作権の帰属や再出版の自由が制限される可能性もあるため、契約終了後の対応までを視野に入れて確認しておくことが、トラブル防止の鍵となります。
5-2 契約解除時の権利と責任の整理
契約期間中でも、何らかの事情で契約を途中解除せざるを得ない場合があります。その際に重要となるのが「解除条件」と「解除後の権利の扱い」です。
たとえば、著者側から一方的に契約解除を申し出た場合、損害賠償や印税の返還義務が発生するケースもあります。また、出版社側が出版を見送ったり、契約違反があった場合のペナルティなども、事前に条項として明記されているか確認が必要です。
特に著作権の取り扱いに関して、「契約解除後も一定期間は利用可能」とされていることがあります。これは、著作権 トラブルの火種にもなりかねません。契約を結ぶ際は、万一の解除を見据え、権利と責任の整理が明確になっているかを必ずチェックしましょう。
6.よくある出版契約トラブル事例
出版契約は法的な文書であるにもかかわらず、内容をよく確認せずにサインしてしまう著者も少なくありません。その結果、印税の未払い、作品内容の無断改変、書籍化に関する権利のもつれなど、さまざまなトラブルが発生しています。
こうした問題は「よくある話」として片付けられがちですが、著者にとっては大きな損害につながることも。本章では、実際に起こりやすい出版契約トラブルの事例と、その対処法を紹介します。

6-1 印税未払い・支払い遅延のケース
もっとも多いトラブルのひとつが、印税の未払いまたは支払い遅延です。契約書に印税の支払時期や方法が明記されていなかった場合、出版社側の都合で支払いが先延ばしにされたり、そもそも支払われなかったりするケースがあります。
特に売上報告の提出が義務化されていない契約では、実際に何冊売れたのかが著者には分からず、正確な印税額を把握できないこともあります。こうした状況を防ぐには、「印税 小説」として相場を把握すると同時に、支払い日・報告義務・計算方法を明文化しておくことが重要です。
もし問題が発生した際には、契約書のコピーをもとに冷静に出版社へ確認を取り、必要があれば第三者機関へ相談するのも有効です。
6-2 内容改変・出版拒否などの編集トラブル
原稿の内容を著者に無断で改変されたり、編集方針の違いから出版が見送られるなど、編集段階でのトラブルも少なくありません。たとえば、タイトルが勝手に変更されたり、内容に大幅な加筆修正が加えられたりと、著者の意図と異なる形で世に出されることがあります。
出版契約には、こうした編集権限の範囲や著者の確認義務について記載があることが理想です。「編集上の変更は著者の承諾を得た上で行う」といった条文があるかどうかがポイントとなります。
出版拒否に関しても、契約書に明確な条件がなければ、一方的に契約を破棄されてしまうことも。編集段階のトラブルは精神的ダメージも大きいため、事前に契約内容をよく確認し、疑問点は必ず解消しておくべきです。
6-3 書籍化の権利をめぐる訴訟事例
近年増えているのが、書籍化や映像化などの「二次利用権」をめぐる訴訟です。たとえば、Web連載中の小説が人気を集め、出版社が書籍化を進める際に、当初の契約内容を巡って著者と対立するケースがあります。
著作権の範囲や、どこまでの権利を出版社に許諾したかが曖昧なまま出版されたことで、トラブルに発展した事例も少なくありません。映像化・漫画化・翻訳出版などを見越すのであれば、契約段階で「どの権利を誰が保有するのか」を明確にしておくことが不可欠です。
実際に裁判となったケースでは、契約書に不備や曖昧な表現があったために著者側が不利になった例もあります。権利関係をめぐるトラブルは金銭だけでなく信用問題にもつながるため、細心の注意が求められます。
7.出版社との交渉ポイント
出版契約を結ぶ前に、出版社とのやりとりで押さえておきたい重要なポイントがあります。契約書の文面だけでなく、交渉の段階から「印税」「著作権」「契約期間」などの条件をしっかり確認することで、後のトラブルを未然に防ぐことができます。ここでは交渉時に役立つ実践的なアドバイスを紹介します。
7-1 契約前に確認すべき質問リスト
出版契約の交渉に入る前には、事前に「必ず確認すべき項目」を整理しておくことが大切です。たとえば、印税率や支払い時期、初版部数、契約期間、著作権の取り扱いなどは、すべて事前に質問しておきたい内容です。
さらに、「電子書籍化の予定はあるか」「販促活動の範囲はどこまでか」「校了後に修正が可能か」といった点も、著者の立場で考えれば重要なチェック項目です。これらの質問に対する出版社の回答をもとに、契約書の内容と照らし合わせることで、文面にないリスクにも気づけることがあります。
出版契約に関する注意点は、交渉段階からすでに始まっていると考えましょう。不明点を残したまま契約に進むのは避けるべきです。
7-2 交渉で押さえておきたい基本姿勢
契約交渉は、単なる条件交渉ではなく「著者としての立場を守る」大切なプロセスです。たとえば、印税率や著作権の扱いについて要望を伝えるとき、強く出すぎると関係が悪化する一方で、遠慮しすぎると不利な条件を受け入れてしまうことになります。
大切なのは、自分の希望や疑問を冷静に言語化し、誠実に対話すること。出版社も、契約内容に納得してもらえる著者との関係を望んでいます。交渉時には「これは一般的にこういう取り決めになっていますか?」「他の著者の事例ではどうされていますか?」といった柔らかい聞き方も効果的です。
出版契約における交渉は、著者の“権利を守る第一歩”であり、後の著作権トラブルを防ぐ鍵にもなります。
8.トラブルを未然に防ぐための備え
出版契約に関するトラブルは、契約前の準備と確認次第で未然に防げるものがほとんどです。印税や著作権の取り決めが不明確なまま契約してしまうと、後から不利な条件に気づいても手遅れになることがあります。
弁護士や出版コンサルなどの専門家を活用したり、出版形態の違いを理解した上で、自分に合った契約を選ぶことが大切です。契約前に押さえておきたいポイントを整理しておきましょう。

8-1 専門家の活用(弁護士・出版コンサル)
出版契約の内容に不安を感じたときは、迷わず専門家に相談することをおすすめします。弁護士は契約書の法的チェックに強く、著作権や印税の条項に問題がないかを客観的に判断してくれます。
また、出版コンサルタントは業界事情に詳しく、著者にとって不利な条件や交渉の余地を具体的にアドバイスしてくれます。特に初めて出版する方にとっては、出版契約の注意点を自分ひとりで判断するのは難しいものです。
相談費用はかかりますが、後に起こるかもしれない「著作権 トラブル」や「印税の未払い」などの損失と比べれば、十分に価値ある投資といえるでしょう。納得できる契約を結ぶためには、第三者の視点を取り入れることが重要です。
8-2 自費出版や共同出版との違いを知る
出版契約を結ぶ前に、自分がどの出版形態を選ぶのかを正しく理解しておく必要があります。商業出版では出版社が費用を負担し、著者は印税を受け取りますが、自費出版や共同出版では費用の一部または全額を著者が負担する場合が多く、印税率や契約内容も異なります。
特に共同出版は、商業出版と見せかけて実は費用負担が大きいケースもあるため注意が必要です。出版形態によって契約書の内容も大きく変わるため、印税といった単語だけにとらわれず、契約条件全体を冷静に見極める姿勢が求められます。後から「こんなはずではなかった」とならないよう、契約前に出版形式の違いを明確にしておきましょう。
8-3 契約前に用意しておくべき情報
出版契約に入る前に、著者自身が準備しておくべき情報も数多くあります。たとえば、自分の作品のあらすじ・想定読者層・競合作品との違い・販売戦略のアイデアなどを整理しておくことで、出版社とのやりとりがスムーズになります。
また、契約時に確認したい項目(印税率、著作権の帰属、契約期間など)を事前にリストアップしておけば、抜けや漏れを防げます。さらに、出版社の評判や過去のトラブル事例を調べておくことも重要です。
準備不足で契約を急いでしまうと、不利な条件に気づかないままサインしてしまうリスクがあります。出版契約の注意点を意識し、しっかりと情報武装して臨むことが、後悔しない契約への第一歩です。
9.トラブル発生時の対応と法的手段
どれだけ慎重に契約しても、出版後にトラブルが起こる可能性はゼロではありません。印税の支払いや著作権の扱いをめぐって出版社と揉めることもあります。
万が一の事態に備え、冷静に対応するための知識を持っておくことが、著者としての大切な防衛策です。この章では、実際にトラブルが起きた際の対応手順や、法的解決の選択肢について解説します。
9-1 出版社と揉めたときの初動対応
トラブルが発生したとき、まず大切なのは「感情的にならず冷静に事実を整理すること」です。たとえば印税の未払いがあった場合でも、まずは契約書の条項を確認し、支払い条件や期日がどうなっていたかを明確にします。
そのうえで、出版社側に丁寧な形で問い合わせを行い、文書での記録を残しておくことが重要です。メールや書面でのやりとりを心がけることで、後に証拠として活用できます。
万が一、出版社が誠実に対応してくれない場合でも、すぐに法的手段に出るのではなく、まずは中立的な第三者(出版団体や消費者センターなど)に相談するという選択肢もあります。トラブル初期の対応次第で、その後の展開が大きく変わることも少なくありません。
9-2 調停・訴訟を視野に入れた対応策
出版社との協議で解決が難しい場合には、法的な対応を検討する必要があります。まず選択肢となるのが「調停」で、裁判よりも費用や時間の負担が少なく、第三者の立ち会いのもとで和解を目指す手段です。
それでも解決しない場合は、民事訴訟を起こすことになります。著作権や契約違反を巡る訴訟では、契約書の内容や過去のやりとり(メール・書面など)が重要な証拠となります。したがって、契約時からの記録を残しておくことが、最終的な保身につながります。
訴訟には費用と時間がかかるため、弁護士に相談したうえで、解決の見込みとリスクを天秤にかけながら進めるのが現実的です。契約にともなうリスクに備えるためにも、法的対応の可能性を視野に入れた準備が大切です。
9-3 解決後の活動再開とリカバリープラン
トラブルが解決しても、著者としての活動をどう再開するかは大きな課題です。出版中止や契約解除があった場合、次の作品の出版先をどうするか、既存作品をどう扱うかなど、多くの判断が求められます。
まずは、自作の著作権が現在どこにあるのかを確認することが第一です。契約書の解除条項によっては、過去の原稿や装丁の利用が制限されている場合もあります。また、再スタートの際には、トラブル経験を活かして、より明確な契約書を交わすことが重要です。
出版活動を継続するためには、信頼できるパートナー選びも欠かせません。再出発に向けた計画を立てることで、リスクを最小限に抑えながら、次のステップに進むことができるでしょう。
10.出版契約前後に使えるチェックリスト
出版契約を結ぶ前後には、確認すべき項目や実施すべき手続きが数多くあります。印税・著作権・契約期間など、どれかひとつ見落とすだけでもトラブルの原因になることもあります。
本章では、契約前のチェックポイントと、契約後のフォローアップ作業をわかりやすく整理しました。後悔しない契約のために、必ず確認しておきましょう。
10-1 契約前に確認すべき重要項目一覧
・出版契約を結ぶ前に、以下のような項目は必ず確認しておきましょう。
・印税率と支払い時期(紙書籍・電子書籍それぞれ)
・契約期間と自動更新の有無
・著作権の帰属先と利用範囲(映像化や翻訳などを含む)
・契約解除条件とその影響
・編集方針の確認と著者の関与度合い
・初版部数・販売価格・販促体制の有無
・二次利用や再出版に関する権利関係
これらは、いずれも「出版契約の注意点」として押さえておくべき基本情報です。口頭ではなく、すべて契約書に記載されているか確認し、不明瞭な点があれば納得できるまで説明を求めるようにしましょう。
10-2 契約後にやるべきフォローアップ作業
小説を出版するための契約は、著者の権利と利益を守るうえで非常に重要なステップです。しかし、契約内容を十分に理解しないままサインしてしまうと、印税の支払い遅延、著作権の不当な譲渡、二次利用に関するトラブルなど、さまざまな問題が後から発生する恐れがあります。
印税の相場や支払い方法、契約期間や更新条件、解除時の権利関係など、出版契約には多くの注意点があります。特に「印税 小説」における収益構造や、「著作権 トラブル」を避けるための明確な取り決めは、事前にしっかり確認しておく必要があります。
また、トラブルを未然に防ぐためには、契約前に専門家へ相談したり、契約後も定期的に印税や契約状況を確認するなど、継続的な対応も欠かせません。契約書は一度サインしてしまうと簡単に修正できないため、不明点はそのままにせず、出版社と丁寧にやりとりを重ねましょう。
出版契約は、著者としての活動を守る「盾」であり、信頼関係を築く「土台」でもあります。安心して作品を世に送り出すために、契約内容を正しく理解し、自分の権利を守る意識をしっかりと持ちましょう。
まとめ:小説の出版契約で注意すべきこと
小説を紙の本として出版するには、原稿作成から印刷・製本・デザイン、納品や販売まで、いくつもの工程があります。それぞれの工程には注意点や選択肢があり、正しい知識を持って取り組むことで、初めてでもクオリティの高い書籍を作ることが可能です。
まず、出版手順の全体像を把握し、原稿データの整備や誤字脱字チェック、入稿形式の確認を行います。次に、印刷方法にはオンデマンド印刷とオフセット印刷があり、部数や予算に応じて最適な方法を選びましょう。製本方法やサイズ・紙質の選定も、小説の読みやすさや仕上がりの印象に直結します。
表紙デザインや本文レイアウトにもこだわることで、読者の手に取りたくなる一冊に仕上がります。印刷会社の選定では、価格だけでなく品質やサポート体制も比較が必要です。入稿後は納期や配送先の調整も重要な実務のひとつとなります。
本が完成した後も、書店やネットでの販売手続き、SNSなどを活用したプロモーション活動を通じて、読者にしっかり届ける努力が欠かせません。小説を紙の本にするという体験は、創作の集大成であり、次の一冊へとつながる貴重なステップとなるでしょう。
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