商業出版の企画書の作り方【出版社が欲しがる企画とは?】

著者負担のない商業出版の場合、その99%は企画書で決まってしまいます。残りの1%はコネなどの一般的な手法ではありませんので、ここでは深く追求しません。今回は、商業出版の企画書を作るうえで大切なポイントをお伝えしていこうと思います。

<目次>
・商業出版の企画書とは?
・企画書の基本構成
  ≫タイトル
  ≫サブタイトル
  ≫市場動向
  ≫ターゲット
  ≫ライバル/類書
  ≫差別化
  ≫著者アピール
・出版社が求める企画とは?
・商業出版の企画書を持ち込もう!

商業出版の企画書とは?

皆さんが頭に浮かべている(あなたが書きたいと思っている)本は、きっと素晴らしい世の中に役に立つ内容で、多くの悩める人たちの手助けになるものかもしれません。しかし、その本は出版されることはないでしょう。なぜなら、著者の負担がない商業出版ができるのは、1000人が応募して2~3人程度しかないという厳しい現実があるからです。もちろん、商業出版型の自費出版であれば「出版する」という目的は達成できます。

今回は「著者の負担のない商業出版」の企画書についてお話します。出版社に企画書を持ち込んで、その価値を認めてもらい、出版社の費用負担で“あなたの本”を出版してもらう方法です。

商業出版の企画書の役割は単純です。売れなさそうな本を除外して、売れる可能性がありそうな本を探すためのフィルターとなります。正直、本を出せるレベルに達していない人たちや、何でもやみくもに応募する人たちも増えています。これは個人が発信するSNS時代の悪影響かもしれません。

これを読んでいる皆さんのレベルは不明ですが、ちゃんとした企画書を書けるようになれば、そのようなノリだけの人たちとは違うと認識してもらえると思います。実際に、出版社の編集担当者は星の数ほど企画書を見ていますので、その企画書に目を通しただけで、著者のレベルや可能性を見極めることができます。

企画書の基本構成

私は大手出版社向けの企画書の添削(有料)などもしていますので、あまり詳しく書けない部分もありますが、ここでは大まかなイメージと最低限必要な要素をお伝えしたいと思います。それぞれの項目で何を書く必要があるのか、何を求められているのか、そのポイントを理解するだけでも企画書は大きく進化します。

<タイトル>
実は「シンプル」が一番です。企画書で書いたタイトルが、実際の書籍タイトルになることは、ほとんどありません。プロの編集担当者がより売れるタイトルを考えてくれますので、企画書の段階では「本の内容を明確に表現すること」を重視していきましょう。

たまに、考えすぎて何を伝えたいのか分かりにくかったり、煽り文句だけで内容が薄そうに感じてしまったり、やり過ぎ感のあるものを目にします。正直、そのようなタイトルを書いてしまう人は、企画書のレベルも知れているので、それ以降は適当に流されてしまう可能性が高いです。

単純なポイントをあげるとすれば「数字を入れる」「明確なターゲットを入れる」「企画をひとことで表現できるキーワードを入れる」だけで大きく印象も変わります。全てを入れる必要はありませんので、それぞれのポイントを活用して、シンプルに“本の内容が分かりやすい”タイトルにしてください。

<サブタイトル>
基本的にはタイトルと同じ考え方で大丈夫です。正直、タイトルを補足する程度の項目なので、別に無くても構いません。ただし、商業出版の企画書を提出するうえで、その出版社が提示したフォーマットがあり、その項目にあるのなら「書かない」という選択肢はありません。

やはり求められている項目を書かないということは、紳士的ではなく真面目さや信頼性も疑われます。企画書は「本の企画」を見ているだけではありません。その著者の人柄や姿勢というのが、企画書から伝わってくるのです。もちろん、慣れている編集担当者であれば、著者としては向いていない人も見抜くことができます。もしくは、そう判断されてしまいます。

<市場動向>
マーケティングは本気でやると時間もかかってしまうので、ある程度の“根拠になる数字”さえ入手できれば、それ一本だけでも十分です。あなたの書きたい本の企画書に沿った数字でなければ意味がありません。そして、大切なのは企画書で扱うテーマの市場は、編集担当者にとっては専門外のことが多いということをお忘れなく。

あまりに詳しすぎる市場調査は意味がないわけではありませんが、特に企画書が通る決定的な要因にはならないのです。むしろ、素人でも何となく「盛り上がっている市場なんだな」とか「今後に伸びしろのある市場だな」と錯覚させることができれば問題ありません。もちろん、嘘はいけません。

<ターゲット>
読者(ターゲット)層は老若男女問わず幅が広ければ「市場が大きい=売れやすい」と勘違いしている人がいます。これは大きな間違いで、ターゲットが絞られていない誰でも読める本は、誰にも読まれない本となります。しっかりと「誰に読んでもらいたいのか」を考えてみてください。

商業出版の企画書において、ターゲット設定と市場動向はリンクしています。編集担当者が気にする部分でもあり、その担当者が自分の出版社を説得する材料となります。例えば、担当者は良い企画書(本)だと思っても、会社が認めないと出版までは辿り着かないのです。

<ライバル/類書>
日本の書籍市場では年間で7万冊の新刊が出版されています。それぞれのジャンルがあるので、一概には全てがライバルとなるとは言いませんが、それだけ商業出版されている本があることは知っておいた方が良いと思います。もしライバルが多いほど燃えるタイプなら、それをパワーに変えてください。

なぜライバルの書籍をチェックした方が良いかと言えば、やはりライバルが少ない市場の方が売りやすいという点です。ただ難しいのは「ライバルが少ない=市場が小さい」という判断をされる可能性があります。特に、あまり経験や力のない編集担当者からすれば、より数が売れそうな企画書を選びたがります。

<差別化>
ライバル書籍を調べることで、差別化がしやすくなります。これまでにないインパクトがあれば企画書は一発で通過すると思います。差別化というのは言い換えるなら「オリジナリティ」です。あなたらしい、あなただけしか書けない本(企画書)であると興味を持ってもらいやすいです。

しかし、あなたの体験や知識を過大評価しないように注意してください。あなたが知らないだけで、世の中には同じような体験をしている人がいます。もしくは、もっと凄い(企画書として面白い)経験をしている人は多いです。あくまで“ひとつの事実”として伝える感覚に抑えておきましょう。

<著者アピール>
商業出版において、出版社のリスクとして「ブランド」を背負っていることがあります。あまりに世間の常識やマナーからかけ離れた本を出すのはリスクしかありません。つまり、持ち込まれた企画書を書いている著者の信頼性を確かめるのは必然です。

商業出版は『個人のブランディング』にもつながります。例えば、詐欺的なビジネスをしている人が本を書きたいと言って、それを商業出版したらどうでしょう?本を読んだ読者たちが感動や共感して、その詐欺師に出会い、そのまま騙されるのを見過ごすわけにはいきません。大袈裟に聞こえるかもしれませんが、著者としての信頼性を伝えることは本当に重要なポイントです。

出版社が求める企画とは?

上記で解説したように、ターゲット選定や市場調査などに説得力があり、著者としての信頼性も申し分なく、商業出版の企画書としてもオリジナリティがあるなら間違いなく審査を通過するでしょう。商業出版の企画書で大切なのは「売れる本であるかどうか」を伝えるのではなく、その前段階の出版社やその担当者を「売れるかもしれないと勘違いさせる」ことなのです。

ひとつの商業出版ができる面白いパターンとして、著者の人柄で勝ち取ることも可能です。ある意味、コネによる出版みたいなものですが、これが意外と侮れないです。このような場合において、出版社の平社員からの声掛けではなく、部長どころかそれ以上の社長や取締役などの上役のことが多く、その本1冊に出版社として注いでくれる力(宣伝など)も期待できるのです。

商業出版の企画書を持ち込もう!

商業出版は難しいと言われています。たしかに1000人が持ち込みをして2-3人程度しか企画が通らないという現状があります。しかし、商業出版に企画書を持ち込む前にあきらめる必要もありません。ぜひ一度は挑戦してみてください。そのハードルの高さを実感してみるのも良い経験になります。それにラッキーで企画書が通過して商業出版できれば最高ですし、通過しなくてもハードルの高さを知っているので落ち込みもしません。

玄武書房の商業出版について

当方(玄武書房)では“3種類の商業出版”を用意しています。それぞれの著者に相応しい形式を選んで、商業出版ができるように考慮しております。全てがより多くの読者に届くために「商業流通」を行います。本を書くのが初めての方でも、タイトル決めや目次作りなど基本的な部分からサポートしていきます。